道具の作り手と使い手をつなぎ、支える人たちなどが一堂に集まり、ともに考え、語り、学びあう場を目指し設立した「日本鍛冶学会」の第1回大会が22日、燕三条地場産業振興センターで開かれ、発起人の三条、越前、三木の各市長をはじめ110人余りが参加し、金属加工技術の基礎となる「鍛冶」の未来をともに考える第一歩をスタートした。
午前10時半からの開会式には、三条市、福井県越前市、兵庫県三木市、富山県高岡市をはじめ県内外から参加があった。
設立発起人代表の国定勇人三条市長はあいさつで、単独ではなかなか成し遂げることができない鍛冶技術の維持、存続、発展を考えたとき、「横の連携が不可欠である」と三木市や越前市に声をかけ、趣旨に賛同し、心をひとつにしてもらったと感謝した。
また、設立の背景として、「引き続き安定的に日本人の生活を揺るぎないものにしていくためには大切な原点にしている“ものづくり”、それを支えている技術力をを忘れてはならない」、さらに磨きをかけていかなければならないとした。
原点を見定めなければ大切なものを失う。技術力は、応用ばかりで基礎を忘れれば大切な土台が忘れ去さられ、基礎技術が失われれば再生は難しい。基礎技術を振り返ると「鍛冶」を忘れてはならない。ドイツの刃物の町、ゾーリンゲンで基礎技術をもつ人が減っている例をあげて心配したが、「対策を講じる時間とチャンスがある」と話した。
国定市長は、「日本鍛冶学会が永遠に発展する素晴らしい礎になるべく、さまざまなセッションを通じて、皆さま方の明るい将来の道しるべ、羅針盤となる素晴らしい一日になることを」と期待した。
開会式に続いて三条市出身でフランス・パリで活躍する日本料理店「あい田」店主の相田康次さん(44)の基調講演「日本料理と道具について」を行い、午後から道具の作り手と使い手、流通や研究者などさまざまな分野の人たちが、事例報告や意見交換を行う5つのセッションを行った。
基調講演やセッションなど、それぞれの会場では参加者のほか、聴講者からも質問や意見などが多数あり、あらゆる分野の幅広い年齢層の人たちが熱心な意見交換を繰り広げた。