和太鼓集団「鼓童」の元メンバーで佐渡市に住む篠笛(しのぶえ)奏者、狩野泰一さん(49)が24日、燕市大曲、デイサービスセンター白ふじの里を訪れ、篠笛や太鼓の演奏で利用者を楽しませた。
狩野さんは、東京都出身。13歳でドラムを始め、一橋大学在学中にライブ活動を開始。ニューヨーク留学中に事故のアイデンティティーに目覚め帰国。1987年「鼓童」のメンバーになり、カーネギーホール、ベルリンフィルハーモニーホールをはじめ世界20か国で1,200回を超える公演に参加し、97年に独立。現在、佐渡で暮らしながら日本古来の「篠笛」の可能性を広げ、コンサートやワークショップ、講演を行っている。
前日23日に三条市内でコンサートを開いており、この日は笛の教室の弟子という認知症予防士の長岡和美さん(46)=三条市=とともに同施設を訪れた。
篠笛は、タケに穴をあけた日本古来の横笛。篠笛の演奏では、曲紹介をしながらオリジナル曲や民謡、童謡などを演奏。音楽の学校には行ったことがなく「鳥とか風とかに笛を教えてもらっている」、「どう、いい音でしょ」と演奏の合間に、テンポのいいソフトな口調で話しかけ、利用者から「優しいね」の声も。
さらに太鼓や唄も披露し、利用者は手拍子をしたり一緒に歌ったり。気持ちも表情も和らぎ、最後の演奏を終えたときには大きな拍手とともに、「あの世の土産に、もう一回。太鼓聴きたい」とアンコールの声もあがるほど。ベッドに寝ていた人も起き上って手拍子をするなど、狩野さんの流れるような会話と演奏に引き込まれていた。