10日夕方、震災廃棄物の広域受入れのための試験焼却を行う三条市の清掃センターに、震災がれき(木質系チップ)の搬入が始まった。焼却は三条市のごみに混ぜて翌11日午後4時から13日午後4時まで行われる。
三条市への搬入は、特殊なコンテナトラック1台で10日から12日にかけ、試験焼却としての受け入れ総量13トンを計5回に分けて行う計画。1回目の10日は、そのうち3.14トンが搬入され、空間線量などの測定を行い、県内における通常の範囲であり、広域受入れを発表している5市で定めた基準の範囲内だったことを確認し、通常の三条市のごみの入っているピットに投入された。
今回の試験焼却用の震災廃棄物は、同じく試験焼却を行う柏崎市の分と合わせて岩手県大槌町から同県山田町の施設で分別などをして専用のコンテナで3日に搬出、JR貨物で盛岡駅から本県の南長岡駅の貨物基地に到着後、保管されている。
1回目のこの日、柏崎市へは午前に搬入。三条市には、とくに反対行動などが行われることもなく、震災がれきを積んだコンテナトラックは午後5時前に清掃センターに到着した。
この日の搬入は、午後5時半から市議、地元住民、報道機関に公開で搬入と計測を行い、60人以上が見守るなか、初めて震災がれきを積んだコンテナトラックが清掃センターの施設内に入った。
放射線の空間線量などの計測は、作業前をはじめ、トラックのコンテナの左右、プラットホーム内にコンテナから出したときの木くず周囲5カ所、鉛で覆われた遮へい線量箱などを1時間ほどかけて測定。空間線量の結果は、いずれも県内における通常の範囲で、広域受入れを行う県内5市で定めた受入れ基準の範囲内として確認したあと、ピットに投入した。
三条市では今後、試験焼却の測定の結果やサンプリングの結果などは、市のホームページや地元住民には知らせる。また、地元住民には、検査結果を基に市の技術アドバイザーの木村真三獨協医科大学教授に評価をもらい説明するとしている。
搬入された木質系チップは、目で見た範囲では、10センチほどに粉砕されたこげ茶色の木。トラックのコンテナの扉が開き、生ごみの匂いが多少はあるプラットホーム内にチップが降ろされると、木の香りがふわっと広がった。市や検査機関の測定のほか、参加した住民も市から貸与されたという放射線測定器をチップに近づけて実際の数値を確認する人もいた。
同センター入り口では、不測の事態に備えてふだんはないフェンスを広げて作業着にヘルメットの10人近い職員が警戒。付近交差点には交通安全指導員が立ち、ものものしい雰囲気だった。