小林弘樹さん(29)=新潟市中央区=がひとりで取材編集する新潟のローカルインタビュー誌『LIFE-mag.(ライフ・マグ)』。その燕三条特集が来年3月の発行に向け、このほど地元で制作委員会が立ち上がった。
19日に三条市内で初めての制作委員会が開かれ、共同発行人である株式会社アイーダ=東京都渋谷区=社長の岩崎徹さんが、燕三条地域のつながりのある人たちに声をかけ、20人近くが参加した。
小林さんは出版に至った経緯を説明。極端に言うと地元メディアのほとんどの情報が「ラーメンと温泉と美容室の情報ばかり」で、24歳の夏、「人間をもっと大切に扱う媒体がほしい」という初期衝動から使命感にかられ、4年前に『LIFE-mag』を創刊。しかし2009年に4号まで発行したところで資金難から休刊し、再就職していた。
昨年、岩崎社さんと知り合ったのが縁で、関心をもった岩崎さんが復刊を働きかけ、1年がかりでふたりで企画を練っている間に小林さんは勤め先を退職。4月から佐渡号の制作を始め、9月に発刊した。
佐渡号の制作段階から「佐渡の次は燕三条だろうと決めていた」と岩崎さん。燕三条はものづくりの町なので“もの”が先行しているが、「作っている人、作っている回りにいる人」がおもしろいと思い、最新号の巻末にはすでに次は燕三条特集を発行するとうたった。
佐渡号の発行で、掲載した人に会いたいという要望が多かったことから直接、その人と会って話を聞けるファンミーティングをこの日にまでにすでに3回開いた。アイーダは地域観光プラットホーム「チキタビ」を運営しており、岩崎さんは地域コミュニティーづくりにまでつなげたいという大きな構想がある。
インタビューの対象は、有名な人や成功した人ではない、ふつうの人を探す。「みんなでつくっていくという媒体のあり方を実験的にやってみたい」と出席者が力を貸してくれるよう求めていた。
出席者は30代の地元の地域づくりや歴史、産業などに明るい人が中心で、さっそくそれぞれの頭の中に「燕特集」の形を思い描きながらふたりの話に聞き入っていた。このあと懇親会で、さらに2人とひざをつきあわせて出版の思いや夢を聞いた。