日本民具学会(佐野賢治会長)の第37回大会が27、28の2日間、三条市で開かれており、初日27日は午後1時から三条市中央公民館で公開シンポジウム「鉄と民具─モノをつくる・ひろめる・つかう─」が開かれ、会員のほかに一般の70人を含む約200人が参加して開催地三条市にちなんだ金物や鍛冶、貸鍬(かしぐわ)などについて学んだ。
全国各地で毎年開かれている大会で、新潟県で開かれるのは昭和54年に小木町(今の佐渡市)で開かれた第4回大会以来33年ぶり。開会にあたり国定勇人三条市長はあいさつで、「完全なるウェルカムの体制」で大会の三条市での開催を歓迎したと言い、一方で三条市もことし日本鍛冶学会を創設したことを紹介。「もちろん、民具学会の皆さま方の深いご知見をいただかなければ、こうした取り組みもままらない」、民具学会の「研究成果をわたくしども自身の糧としながら、いい関係のなかでこれから先もものづくりにこだわっていく」と協力を求めた。
三条市では元三条市立図書館長知られる五十嵐稔新潟県民俗学会会長は、基調講演の国立歴史民俗博物館の朝岡康二名誉教授は『三条市史』編集で特別調査員を依頼しており、事例発表の発表者も三条市で調査を行っていることから「三条になじみのある人からのご講演はありがたい」と感謝した。
シンポジウムでは朝岡名誉教授が「生活からみる近代金物誌」のテーマで基調講演のあと、日本民具学会会員の香月節子さんが「三条鍛冶職人の今─その継承と変容─」、地元三条市の前鍛冶集団会長で伝統工芸士の日野浦司さんが「鍛冶をとりまく現況」、新潟産業大学の三井田忠明さんが「貸鍬からみた鍬の変化」をそれぞれテーマにそれぞれ事例発表。さらにそれぞれをパネリスト、千葉工業大学の寺島慶一教授をコーディネーターにパネルディスカッションを行った。