燕三条青年会議所(五十嵐利行理事長)は10日、燕三条の果物と野菜で作る幻のミックスジュースで1,000人を目指して世界最長乾杯リレーのギネス記録に挑戦した。913人が参加して、うち認定されたのは886人。これまでの記録487人を大幅に上回る世界新記録を達成した。
1階コンコースを中心に段ボールで仕切って参加者が並ぶコースを設置した。乾杯リレーは、前の人と乾杯して1回飲み、次の人と乾杯してもう1回飲み、それを繰り返す。1階の燕側入り口の五十嵐理事長からスタートしていったん階段を通って2階に上がり、再び1階に戻ってゴール。その間、参加者は場所を離れたり、しゃがんだり、カップを手から離すことも許されない。
乾杯用のカップは、燕市の研磨業者を中心とする共同受注グループ「磨き屋シンジケート」の人気商品、ステンレス製「ECOカップ」。オリジナルデザインのプリントを施した。そこに三条産のナシを主体に三条と弥彦のブドウ、下田のサツマイモ、燕のトマトなどで作ったミックスジュースを入れた。
駅構内は千人近い人であふれ、首都圏の駅と錯覚するようなにぎわいだった。参加者の間隔の調整に手間取り、予定より約40分遅れて午後2時20分から開会式。五十嵐理事長は、燕三条地域は非常にたくさんの農産物が収穫できる地域であることをアピールしようと乾杯リレーを思いついたことを話し、「この地域のすばらしさをわかっていただきたい」、ギネス記録を達成できたら「それを誇りに思ってほしい」と求めた。
国定勇人三条市長は、大勢の参加者が集まった様子に「感慨無量」。「世界記録をもっているんだということを胸に誇れるようなそんなすばらしいイベントに」と期待し、燕三条JC、JR東日本、そして参加した世界記録保持“予定”者に感謝した。燕三条駅の時田康弘駅長は、「燕三条地区の日本一、世界一に向けてみんなでつながって世界記録を達成していこうではありませんか。みんなで頑張りましょう!」と呼びかけた。
そしてルール説明などを行って午後2時38分、全員でカウントダウンして五十嵐理事長から乾杯リレーがスタートした。自分が乾杯する時間はわずか数秒。乾杯するだけの簡単な作業だが、待ち時間が長く、カップを落としたらどうしようなどと変な心配が頭の中をめぐり、思いのほか緊張する。
乾杯にはしゃぐ余裕はなく、静かにリレーが進んだ。その様子をギネス社の公式認定員、カルロス・マルティネスさんとグリナズ・ウカソヴァさんが同行しながら、手順に間違いがないかをチェックした。
これまでの記録は、10月7日に米国・カリフォルニア州のワイナリーの町ナパヴァレーでワイン乾杯リレーの487人。それを超える488人目に乾杯したのは、三条市立南小学校6年生赤岸昇弥君(12)=三条市西四日町3=。世界記録を超す乾杯になったことをアナウンスすると大きな拍手がわいた。
赤岸君は「ギネスの更新に挑戦するチャンスは人生で1回しかないと思って」と自分から参加したいと両親を誘って参加。「思ったより待ち時間が長くて大変だった」が、488人目になって「やっぱりうれしい」とちょっぴり戸惑いながら喜んでいた。
スタートからちょうど1時間後にゴールした。ゴールに近づくと、残り人数を逆算してカウントダウン。最後の「0」は、今回使ったジュースの名前を公募して選ばれた「燕菜三果(えんさいさんか)ジュース」の名付け親、燕市立小池小学校5年生遠藤鈴花さん(10)の音頭で参加者全員で「かんぱーいっ!」と飲み干して挑戦を終わった。
それから公式認定員が、挑戦を判定した。次の人と乾杯した後にもう一度、飲むのを忘れた人が目立ち、参加した913人中27人が除外されて結局、886人の乾杯リレーが成功した。挑戦終了から結果発表までさらに1時間近くかかったが、世界記録が認められる瞬間を見届けようと、約200人の参加者が駅に残った。
カルロスさんが英語で結果を発表し、グリナズさんが日本語に通訳した。カルロスさんの「エイト・ハンドレッド…」、「ニュー・ギネス・ワールド・レコード…」に通訳を待たずに会場は大歓声と拍手に包まれ、グリナズさんも「通訳した方がいいですか」と笑った。
カルロスさんから五十嵐理事長に、額入りのギネスのロゴと「CERTIFICATE」とある公式認定証を手渡した。その後も参加者は五十嵐理事長と公式認定員を囲んで記念写真を撮り、めでたく世界記録保持者になったことを確認していた。