犯罪が増える年末を迎えるなか、燕署(中村栄署長)と大光銀行燕支店(佐藤良一支店長・燕市燕)は15日午後3時半から同支店で模擬強盗訓練と特殊詐欺対応窓口訓練を行い、犯行を想定した迫真の訓練で現場での対応を学んだ。
模擬強盗訓練は、署員がふんする目出し帽をかぶった二人組の犯人が裏口から店内に侵入。ひとりは拳銃を撃っていかくし、ひとりはナイフを職員に突きつけてビニール袋に現金を入れさせ、裏口から逃走した。特殊詐欺対応窓口訓練は署員がふんする客がもうけ話で300万円を振り込みたいと窓口を訪れ、それを窓口職員が思いとどまらせる対応訓練を行った。
模擬強盗訓練では、目出し帽やタオルで顔を隠した犯人が上に向けて拳銃を撃ち、「こらーっ!手を上げろ!」と大きな声を上げ、佐藤支店長は犯人にせき立られて現金を渡した。犯人の逃走までわずか1分35秒。この間に5つの非常通報装置のうち4つが押され、燕署からの電話を受けた佐藤支店長が犯人の特徴、被害額、逃走経路などを伝えた。
ふだん静かなロビーで聞いたこともないような拳銃の音や犯人の怒鳴り声の大きな音。訓練とわかっていてもひるむのは仕方なく、緊張して両手を上げ、涙目になる女性職員も。「本当に起きたら、ぼうぜんとするんだろうな」と対応の難しさを痛感する人もいた。
特殊詐欺対応窓口訓練は、客が300万円を振り込みたいと窓口を訪れた。高額であることから、窓口職員は理由をたずねると、人工透析のもうけ話のためとのこと。手続きのため席への移動を進めるが、客は時間がないとすぐに手続きをするよう求めた。なおも職員は時間をかせぐ一方、燕署へ通報して署員が駆けつけ、振り込め詐欺であることがわかるといった流れ。県内でも職員が振り込め詐欺を窓口で防いだ例は多く、職員はふだんの訓練通りに対応した。
講評で燕署の担当は、前日に署員2人が来店して下見していたことを明かした。職員は不審な来店者があったことを記憶しており、1人には職員が「何かお探しでしょうか」と声かけもしていたことを高く評価。職員にも覚えている犯人の特徴を質問し、職員で記憶する部分を分担すること、記憶したことは警察が来るまでにすぐにメモに残すようアドバイスした。
特殊詐欺対応窓口訓練では、特殊詐欺の発生状況のデータを示した。1月から10月までの被害の比較で、昨年の13件、被害額8,017万円が、ことしは62件、被害額5億4,539万円と跳ね上がっている。内容は金融商品、異性交際、ギャンブルに分類したうち、金融商品が増えたもので、金融商品は昨年の10件、被害額6,386万円がことしは55件、被害額4億8,179万円と増加している。
燕署の担当は、振り込みの手続きを引き延ばすことでトラブルになる可能性があるが、警察に指導されているなどと「警察のせいにしてもらっていいので」と連絡するよう求めた。大光銀行では70店舗あり、上期と下期に3店舗ずつで警察と合同のこうした訓練を行っている。