「墨遊はちまき屋」を主宰し、「新潟チップス」はじめ菓子や酒のパッケージロゴや「越後三条打刃物」のシンボルマークなど幅広い書を手掛ける加茂市在住の書家、泉田佑子さん(35)は、21日から25日まで長岡市・新潟県立近代美術館展示ギャラリーで3年ぶりの個展「墨遊小路書展vol.2 共に-together-」を開く。
泉田さんは5歳で筆を持ち、三条高校、新潟大学教育学部書道家を卒業。2000年に「墨遊 はちまき屋」=加茂市岡ノ町=を創設。ホテルオークラ新潟のレストランのロゴをはじめ、りゅーとぴあ主催の能楽堂シェイクスピアシリーズの題字などを手掛ける。
また、地元県央地域とのつながりも多く、国指定伝統的工芸品「越後三条打刃物」のシンボルマークや2010年のギフトショーの燕三条ブースで使用された「燕三条」のロゴも制作している。
個展は、2009年に加茂市の清雲亭山重仲町店の酒蔵で開いて以来3年ぶり。これまでは北方博物館屋根裏ギャラリーやりゅーとぴあギャラリーなど、地元加茂や新潟方面の開催だったが、長岡市で、また美術館での開催も初めて。
「墨遊小路」は泉田さんのアトリエから世界中へ続く架空の小路。今回は、その小路を同美術館ギャラリーにしつらえ、作品をそこに住む住人にみたてて展示。2007年から12年のオーダー作品、2003年から12年のオリジナル作品など計65点のほか、制作に使用した墨や筆なども展示する。
たくさんの出会いから生まれたという作品は、「暮らしの中で人々とともに生かさせてもらう」、「100年後の家宝(となる作品)が目標」との思いで創作。今回の展示のためにクライアントから借り受けた作品が多く、「それぞれのお宝をお借りした」と泉田さん。クライアントからは作品への想いなどをメッセージとして書いてもらっており、あわせて展示する。
初めて近代美術館で開催することについて「ものすごく楽しみ」と泉田さん。自身の作品展だが、1つの作品が完成するまでには、道具から額の仕立てまで大勢の人がかかわっている、また、お客さんがいてはじめてつくらせていただけると、たくさんの人に感謝する。
さらに、会場で作品を販売できないなど、さまざまな条件から若い世代が、県立近代美術館など公の機関で展覧会を開催することが難しいシステムとなっていると言う。今回、たくさんの応援があって泉田さんは機会を得たことから、これを機に現状を知ってもらい、若い人もチャレンジしたいと思ってもらえればと話した。
また、泉田さんは、今年2月に初めて行われた十日町きもの女王コンテストで、初代きもの女王3人のうちの1人に選ばれており、会場ではきもの女王のティアラなどを展示するコーナーも作る予定。
墨遊小路書展は、5日間とも午前9時から午後5時まで。入場無料。初日21日は、午前9時10分からオープニングセレモニーを行い、「書ライブ」として会場で作品1点を制作する。