三条市下田地区の「よってげ邸イベント実行委員会」(斉藤健一委員長)は25日、地元の農業体験学習施設「よってげ邸」=同市早水=で「ひこぜぇん祭り」を開き、地域総出で郷土食「ひこぜぇん」を作り、味わってもらった。
牛野尾、濁沢、早水、葎谷、遅場の5つの自治会でつくる「牛野尾谷五ケ会」を対象に20年以上前から毎年行われている地域の収穫祭のようなイベント。地域の子どもからお年寄りまでが協力して「ひこぜぇん」を作り、地域の内外の人に販売したり、郷土芸能などを鑑賞しながら一緒に味わう。
「ひこぜぇん」(ひこざぇん、ひこぜん)は、切りたんぽや五平餅などに似たご飯を使った下田地域の郷土料理で、冬場にクマ狩りに行ったマタギの携帯食だったという。
収穫したばかりの新米を炊き、ご飯粒が半分崩れるくらいにつぶす「半殺し」状態で平べったい木の棒にミトンのような形にくっつけてあぶる。いったエゴマをすりつぶして作るエゴマ味噌を塗って再びあぶってできあがり。1個400グラムほどのずっしりとした重さになる。
この日は、3連休最後で久しぶりに青空の広がる小春日和。正午に開会し、香ばしい香りに包まれた会場には約250人が次々と訪れ、郷土の味とあわせて行われた地域の太鼓演奏や神楽舞いを楽しんだ。
同地域は、昨年の7.29豪雨災害では土砂崩れが各所で発生し、住宅倒壊や土砂流入など大きな被害を受けた地域。昨年はイベントどころではなく中止しており、今回は2年ぶりの開催だった。本格的な復旧工事が、あちこちで進められており、間もなく訪れる積雪期を前に工事のピッチも上がり、休日にもかかわらず近くではショベルカーが稼働していた。