国の出先機関改革に反対する「地方を守る会」で代表世話人を務める国定勇人三条市長は11日の定例記者会見で、衆院選後の新しい政権の枠組みでも引き続き反対を訴えるとともに、勉強会や提言会を開いて国が果たすべき領域、市町村の役割を再整理し、本当の意味での地方分権、地域主権を提言する活動を来年から本格化させていきたいという方向性を示した。
国の出先機関改革は、出先機関を廃止して地方へ移管しようというもの。国定市長は「国の出先機関そのものをすべからく守りきらなければならないという立場ではない」、「地方分権の主体は市町村だと再三再四言ってきた」としたうえで、国の出先機関改革という“過ち”は、自衛隊や外交を地方分権するのと同じようなもので、「国家の弱体化であり、国家の分断論でしかない」とした。
地方整備局を広域連合に移管しようとしているが、地方整備局は国土を保全し、住民の命そのものに直結し、平常時は国土そのものを守り抜いている立場。米国は河川管理を陸軍がやっており、国防と同様に行われている国土保全を地方にゆだね、財政力も人的資源も細分化されれば弱くなり、そこに「わざわざ住民の命を預けることはない」。
移管先が都道府県ならまだしも、複数の都道府県で構成する広域連合なのも問題で、災害の被災地が複数の県にまたがったときには、各知事が対等な関係では対応を決めきれず、「組織論理上、不可能なことをわざわざやるのか」と疑問を示した。
これまでの「地方を守る会」の活動を通して、「国、少なくとも永田町はそのていどの知識しかないことに気付かされた」。都道府県と市町村の違い、広域連合、地方整備局も何なのか理解していないのではという、数々の素朴な疑問がわいた。
衆院選後の新たな政権の枠組みに対しても「少なくともこれまでの民主党、国民新党が進めて来たやり方は違うでしょうってことはもちろん訴え続けなければ」ならないが、「ぼくら自身も勉強会ていうか提言会」を開き、「そもそも国が本来果たすべき領域はここ、市町村にできることはこういうことがあるということの再整理」をする。
「地方を守る会」は任意団体のなので、百パーセントの同意を得ずとも自由に提言できるのが強みで、「本当の意味での地方分権、地域主権の提言の活動を来年ぐらいから本格化」させ、衆院選後、今後の地方を守る会の方向性について代表幹事の相馬市長と相談したいとした。