衆院選新潟県第4区立候補者の応援で元首相、自民党の麻生太郎氏が14日午後7時過ぎから三条市上須頃、三条中央青果卸売市場で演説し、自民党が政権を奪還したら金融緩和、財政出動、経済成長の3つを同時に進めるとして支援を求めた。
麻生氏は首元に紫のネクタイをのぞかせ、水色のマフラー、その上にエレッセの濃紺のロングコートで、手袋を着けて市場にふさわしいトラックの荷台を利用した演壇に立った。麻生氏は集まった200人余りを見渡しながら「こうやって話を聞いてもらって誠にありがたいんですが、これでもう義理を果たしたと思ったらだめよ」と、辛口なジョークから始めた。
今回の選挙で何が争点かわからないというのは、勉強をしていないから。はっきりしている。「この3年3カ月間の民主党の実績が問われてるんです」。民主党はマニフェストに書いてあることしかやらない、書いてないことはやらないと言ったが、高速道路は無料にならず、ガソリンは安くならなかった。「書いてないことはやらないんですって言って、消費税は命懸けでやりますって、おかしいだろうが」、「今回くらいわかりやすい選挙はない」。
自民党にとって政権奪還は単なる手段で、何をするかが目的。目的は国民が求めていることで、それは景気。今の不況は今までの不況とまったく違う。今までの不況はいずれもインフレだったが、今回はデフレ。インフレの経験者はない。世界中になかったから。デフレ不況対策をやったことがない。それが不況が長引いているいちばんの理由。
この3年間、考えたデフレ不況対策は、日銀による金融緩和、財政出動、経済の成長戦略の3つ。しかもそれを同時にやらなければならない。役所を一括して同じ方向へ進ませる。それが政治力。その政治力をわれわれに与えていただきたい。
政権奪還の暁には、それを確実にやる。ちまちまではなく、堂々とした補正予算を組むことから始めるので、「不況対策、景気対策、これをやるということだけ、ぜひ頭に入れていただきたいと思ってきょうは最後のお願いにやってきた」。
麻生氏は後半、おなじみのべらんめえ調で聴衆を引き込んだ。新潟県第4区の情勢については、「われわれ、行かされる所はぎりぎりの所しか来ないの。ね。負けるとわかった所には来ないんだから。ね。ぎりぎり。もう、勝ったとわかった所にも行くことはない。ぎりぎりの所しか行かされない」、「今回はあと一歩という所に来ていることは間違いない。多分、ほとんど並んだか一歩、抜けたくらいの所」と分析し、自信を見せた。
前日に小泉進次郎氏が応援も応援に訪れたことについては、「意外と悪くなかったろ?。なあ。親父に比べりゃできがいいよ。じいさんもひいじいさんも知ってるけども、おれは4代知ってるけれども、みんなだんだんでき良くなってきたがな」と笑わせた。
一方で、「選挙中に本人の顔を見たことがない、本人の話を聞いたことがない人は90%ですよ」、ここに来なかった人に電話するのは「あと2人か3人、それで十分。それで勝つから。あと2、3人の話なんだから。選挙ってのは最後のその2、3人が勝負」という選挙のシビアな面も強調した。
さらに脱線して先の自民党総裁戦に話にも。「安倍が勝つと思った新聞社なんかひとりもいないよ。あとで見たら安倍が勝ったろうが。やってみなきゃわからないんだって。最後まで。安倍が勝つと書いた週刊誌なんかひとつもありませんよ。みんな石原が勝つって書いたじゃない。みんなそれを買ったじゃん。ねえ。損したな、間違えたなと思ったろ?。間違いなく選挙っていうのは当てになんない。そういうもんなんです。おれたちはそんなことばっかりやってきたからわかる」。
演説が終わると、聴衆はすっかり麻生ファンに。握手を求めて麻生氏に群がり、「頑張ってくださいよ!」、「もう1回、総理大臣になってください!」、「ステキ!」という声もあった。