新潟県三条地域振興局は19日、燕三条リサーチコアで第7回にいがた県央マイスター認定証授与式を行い、燕の金属加工産業の土台を担ってきた仕事「へら絞り加工(手絞り)」のマイスターに時田勇さん(70)=燕市桜町・時田工場事業主=に認定証を贈った。
にいがた県央マイスター制度は、県央地域の高度な産業を支える卓越した技術者や技能者を「にいがた県央マイスター」に認定し、その社会的認知度を高めるとともに、優れた技術の維持や継承、人材の確保や育成を図ろうと、平成17年に創設された。
第7回の今回は時田さん1人が応募。古川徹新潟大学名誉教授を選考委員長に委員9人で構成する選考委員会が審査し、岡田伸夫三条地域振興局長が認定した。時田さんは26人目の県央マイスターとなった。
「へら絞り」とは、平面や円筒状の金属を回転させながら“へら”という棒を押し当てて少しずつ形を作っていく塑性加工の手法。技術の習得には10年以上かかり、現在、職人の数はわずかで、技術の伝承の危機とも言われている。
授与式では、県央マイスター19人と審査員、来賓の鈴木力燕市長、燕市議7人、三条市の商工課長、燕商工会議所副会頭はじめ関係機関などからの約35人が見守るなか、岡田伸夫三条地域振興局長が時田さんに「にいがた県央マイスター」の認定証と記念の盾を手渡した。
認定証を受けた時田さんは、この技術を若い人に伝えたいと言い、「やってみるとおもしろいが、難しいというのが先にたつ」と、後継者育成の難しさを話した。また、「もう年ですんで」と笑い、「後継者ができれば仕事は譲ってもいい」、今は仕事に追われているが「もし暇ができたら自分の好きなものを作ることに取り組みたい」とも話していた。