3日にFA宣言して以来、さまざまな企業、団体のオファーを集めたプロ野球東京ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター「つば九郎」が26日、球団事務所=東京都港区北青山2=で衣笠剛社長と交渉した結果、年俸は現状維持の1万円で残留することに決まった。
つば九郎のオフィシャルブログによると、衣笠社長にCD、DVD、本、カレンダー、つばさんぽ、連続試合出場など、ことしの活躍を最大限に評価された一方、FAしたら胸や頭のスワローズのマークや“つば九郎”の名前も使えなくなると指摘された。
つば九郎は、名前を変えなければならないなら「はらぐろう!?」と言ったところ、衣笠社長に「そんなみっともないことするんじゃない!だったら、みんなといっしょに、また、お〜えんしていこうじゃないか!」と説得され、「おねがいします」と再契約に至った。
年俸は大幅増のつば九郎の名にちなんだ28,960円(推定)を提示されたが、つば九郎はFA宣言で心配をかけたとして1万円(同)で納得、サイン。衣笠社長とがっちり握手する写真をブログに掲載した。
年俸に加えて「ヤクルト400」と「タフマン」が飲み放題で、遠征したときは夜のパトロールでピッチャー3杯のビールも。さらにデビュー20周年となる2013年4月7日の横浜ベイスターズ戦で記念試合が行われることになった。
このつば九郎の動向に戦々恐々だったのが、燕市の鈴木力市長だ。これまで「ツバメ」の縁で、つば九郎とのコラボレーション事業を着実に進めていたところに、降ってわいたようなつば九郎のFA騒動。いったんは燕市もつば九郎獲得に名乗りをあげようと準備を始めたが、ヤクルトの宮本慎也内野手がつば九郎の慰留に回ったのに同調。「つば九郎先生と一緒に築いてきたファンのみなさんとの信頼関係を裏切ることになるのでは」と鈴木市長は涙をのんでオファーを見合わせた。
26日朝の記者会見で鈴木市長は、自ら「きょうはつば九郎の残留交渉がありますので、それを非常に気にしながら過ごそうと思っています」と胸の内を明かし、残留さえしてくれれば、コラボ事業のアイデアはたくさんあり、「衣笠社長が残留交渉に成功していただくことを祈っている」と話した。
午後になってつば九郎のスワローズ残留の知らせを聞いた鈴木市長は、ほっと胸をなで下ろすとともに、自身のブログで残留への熱い思いをつづったこともあり、「本当にうれしい。わたしの思いが通じたかな」と上機嫌。「つば九郎との連携事業をさっそく進めていきたい」と話していた。