燕市産業史料館では、11日から27日まで長岡造形大学の学生とのコラボレーション企画展「燕×長岡造形大学×ものづくり展〜未来に繋ぐものがたり〜」を開いており、企画から広報、展示まで学生が同史料館と取り組んだ成果を発表している。
長岡造形大は今回の企画展に、地域から寄せられるさまざまなテーマに学生と取り組む「地域共創演習」という授業で昨年9月から取り組んだ。授業を受ける美術・工芸学科の2、3年生12人が同史料館学芸員のアドバイスを受けて企画、ポスターのデザインや広報活動、展示作業と進めた。
展示作品は授業のなかで制作したもので、12人が制作した作品のほかに1年生が制作した作品も加えた71点を展示。複合造形作品が多く、金属とガラスを組み合わせた「器」、「照明」、「椅子」、粘土と金属を組み合わせた「動きを表すかたち」、テキスタイルと絵画を組み合わせたコラージュ「植物の生命観」などがある。
同史料館は、伝統的な技法を極めた作家の作品を展示することが多いが、それとは対照的。さまざまな素材や技術を組み合わせてひとつの作品にまとめている。造形の発想も自由で、アカデミックな雰囲気だ。
もっともそこには燕市の伝統的な金属加工技術である鍛金や彫金から鋳金まで、さまざま技法が注ぎ込まれている。「水差し」は銅、真ちゅう、ステンレスなどを組み合わせて、しぼり、溶接、蝋(ろう)付け、半田接合、硫化仕上げ、緑青仕上げなどを施す。「ブローチ」は切り嵌め象嵌(きりばめぞうがん)、「匙(さじ)」は減圧式精密鋳造法によって生まれた。燕市で金属加工を手掛ける作家やメーカーでも一般的な技法で、地元のプロの厳しい批評の目を受ける。
この企画展を担当した長岡造形大美術・工芸学科の長谷川克義准教授は、「何とかなったんじゃないかと思ってます。いつもは大学のギャラリーで授業作品を展示するんですが、そうしたオープンギャラリーとは違って、照明の当たった特別な空間でより良く、すてきに見えます。生徒の頑張りも見えてくるのでは」と納得する。
6日に学生の手で展示作業を行った。いったん計画した通りに展示してから、あらためて会場を全体を見渡して展示の順序や方法を変えたり、作品を追加したりして、雰囲気は見違えるほど変わった。「最初はきれいに並べ過ぎて若さが現れず、再構築しました」と長谷川准教授。「自分のものでない作品をどう見せるかを考えることも勉強になったと思います」と話した。
13日、20日、27日の3日間、いずれも午後2時から作品解説会を開き、それぞれ学生4人で展示作品を解説する。会期中の休館日は15日と21日、開館時間は午前9時半から午後4時半まで。入館料はおとな300円、子ども100円で、土、日曜と祝日は、燕市内の小中学生と付き添いの保護者1人が無料。問い合わせは同史料館(電話:0256-63-7666、メール:sangyoshiryokan@city.tsubame.niigata.jp)へ。