3連休直前日の11日、日付が変わろうとする時間になって呼び出しがあった。この冬、突如、雪中キャンプに目覚めた友人。突然、思い立って友人を誘って2人でキャンプに出掛け、高級ハンバーグを焼いたところ、滅茶苦茶においしいので食べに来ないかという誘いだった。翌日、県外へ出掛ける用事があってためらいもあったが、満天の星がすごいというので思い切って出掛けた。
栄地区のしらさぎ森林公園に到着したが、どこにもあかりも人影もない。友人に電話して確認すると聞き間違いで、正しくは下田地区の「中浦ヒメサユリ森林公園」だった。急に思い立ったというので、てっきり近所だろうという先入観から、頭が勝手にしらさぎ森林公園と聞きとったらしい。
さすがに中浦ヒメサユリ森林公園にはひるんだ。かなりの山奥だ。しかもこの冬いちばんの厳しい冷え込みで、しらさぎ森林公園へ向かう間もあちこちで濃い霧が立ちこめていた。しばし迷ったが、せっかくしらさぎ森林公園まで来て乗りかかった船。ハプニング的なノリも嫌いじゃない。ままよと中浦ヒメサユリ森林公園へ車を走らせた。
道路の凍結がすごかった。車外の気温を測る温度計は−7度を表示。一度も見たことのない数字だ。iPhoneのアンテナがやっと1本立つくらいの電波状況で、あかりひとつない雪の壁にはさまれた道をひとりでハンドルを握って走り続けるのは、さすがに心細いが、同時に冒険のようなわくわく感も膨らむ。
中浦ヒメサユリ森林公園に到着すると2人が歓迎してくれた。だるまストーブを囲みながら焼いてくれたハンバーグは、まさに絶品。防寒対策が不十分で、体の芯から冷える寒さだったが、いくら高級なレストランで上等な料理を食べようとも、ぴりぴりするような冷気に包まれたアウトドアで食べるハンバーグの味わいにはかなわない。結局、頭で味わっているわけだから。
周囲は2メートル近い積雪だろうか。ほぼ無風。雪が吸音材ともなって音ひとつしない。見上げると満天の星。雲がなく、あかりを消して天空を眺めていると目の感度が上がり、どんどん星の数が増えてくる。こんなに星が密集しているようすを見たことがない。まさに自然のプラネタリウム。そのまま星を眺めていると自分がどこにいるのかわからなくなるような、宇宙を浮遊しているような不思議なトリップ感を味わう。翌日があるので1時間足らずでテントをあとにしたが、本格的に雪中キャンプを体験すべきかもと思う夜だった。