三条市・八幡宮(藤崎重康宮司)では14日夜から明け方にかけてろうそくをともし続けて商売繁盛や家内安全を祈る小正月の行事、献灯祭が行われ、雪からしだいにみぞれに変わる天気のなか、大勢の参拝客でにぎわった。
畳をはがした拝殿には、重さ8貫目(30キロ)のろうそく2本に5貫目2本、3貫目28本、合わせて昨年と同数の計32本の大きな和ろうそくがそれぞれ台の上に並んだ。
午後7時から神事のあと、「三条市長」と書かれたろうそくに国定勇人三条市長が御神火を点火したのを皮切りに、それぞれのろうそくの献納者が、奉納したろうそくに次々と点火した。
ろうそくが着火しやすいように、ろうそくのてっぺんにライター用のオイルを染み込みませた脱脂綿を載せてそこに火を着けるが、どのそうろくも何度、火を着けても間もなく消えてしまうアクシデントが発生した。
ろうそくの芯にかぶせたろうが厚すぎたのか、火が芯にたどり着く前にろうの部分で火が消えてしまっているのがわかり、刃物でろうそくの先を削って芯を出して事なきを得た。「何事も芯が大事ということ」と神さまからの教訓と前向きにとらえる人も。続いて左奥にある金山神社でも同様に神事を行ったあと、ひな壇のように並んだ81本のろうそくにそれぞれ奉納者が訪れては火をともした。
ろうそくを奉納した企業の社長は「おわちは、どごにあんだいや(うちのは、どこにあるのか)」と自社の名前が書かれたろうそくを探し、「カチ、カチ」と火打ち石で切り火してもらってから小さなろうそくの火を大きな和ろうそくに移した。
神事が始まった午後7時の三条の気温は0.7度。雪が降っていたが、午後10時には1.6度と冷え込みが緩んだこともあり、しだいにみぞれや雨に変わった。年配の人は子どものころ、つるつるに凍った境内を滑らないように歩いた記憶が強いが、境内の雪は溶けてシャーベット状になったり水たまりになったりしていた。
境内には熊手やだるまなど縁起物を売る露店も並び、焼納場では火が燃え盛った。風は弱かったので思ったほど寒くはなかった。午後8時ころには八幡宮の拝殿前には200人ほどが行列をつくって参拝を待った。「30年ぶりに来たて」と話す女性もいて、帰りを急ぐことなく三条の小正月の風物詩をゆっくりと味わっていた。