19日に三条東公民館で開かれたまちづくりシンポジウム「まちの幸福論」で国定勇人三条市長は、町の中から自動車を閉め出して「道路を再び人の手に取り戻す試み」を行う考えを示した。
シンポジウムは、コミュニケーションデザイナー山崎亮さんを1年ぶりに三条市に迎えて開かれ、講演のあとパネルディスカッションが行われた。国定市長は登壇せず、関係者として参加し、パネルディスカッションで感想や意見を求められて発言したもの。
国定市長は、三条マルシェなどについては「僕らの手を放れている」どころか、思いよりも先にいっていると評価したうえで、「三条の商店街って商店街じゃないと思ってるんですよ」とし、「商店街の真ん中に車が通ってる」と問題提起した。
商店街は「道路に左右の商店があって、そこを人々が行き来をして初めて町の空間になる」のに、道の真ん中を「人にとってみてはおそろしく危険な車」がびゅんびゅん走り、「どうしてそれで商店街って呼ばなければいけないんですかっていうぐらいに、町の構造がおかしくなっている」と指摘した。
欧州は20年かけて町から車を閉め出して「道を再び人間のものに取り戻して、町全体がいかにもにぎやかになっているかのように見せつけることに成功」。「僕はね、三条をそうしたいんです。つまり、道路を再び人の手に取り戻す試みをことしくらいからやってみたい」と、ことしから取り組む考えを示した。
それは閉じられた空間やイベントなどの限れた時間ではなく、日常に落とし込むための手段。道を「生身の人間の手に取り戻して、そこをうまく有効活用」し、町全体のなかで目につくのは道をどう彩るかで「相当、三条の町は変わってくる」し、「それを日本でいちばん最初に成功すれば、それこそものすごく価値のある町になる」と夢を描いた。
山崎さんも国定市長の意見に全面的に同調した。洋書「Carfree Design Manual 」を紹介。「公園を設計しててもたかがしれていて、都市の2割以上の面積を占めているのが道路なんで、そこが全部、公園に変わったら一人当たりの公園面積も全然、変わってくる」と道路の重要性を強調し、「価値ある道に変えていくことは、すごい大事な気がする」。
空き地は見えやすく、交通量が減った道路は見えにくいが、「これをやったら相当、インパクトもあるし、やるべきだと思います」と賛同。「ぜひ、三条市から『やったぜ、もう』というのを全国に発信してもらえると日本が少しシフトします。自治体が『あっ、できるんじゃん』ということになり」、「日本中に波及していくだろうなと思いますね」と三条市にとどまらず日本の商店街が進める再生のモデルになる可能性に期待した。