今を時めくコミュニティーデザイナー、山崎亮さんが19日、三条東公民館でまちづくりシンポジウム「まちの幸福論」で1年ぶりに三条市で講演した。出席した国定勇人市長もブログで「ホントに嫉妬しちゃいます」と書いたように、前回にも増して会場にいる人を“その気”にさせるカリスマ的な魅力を放っていた。
前回はほとんどの参加者が山崎さんを生で見るのは初めてだったが、今回の参加者は恐らく過半数が前回に続いての参加。前回は山崎さんのまちづくりやコミュニティーデザインに対する考えにうっとりと聴き入るといった風だったが、今回の後半のパネルディカッションは、より三条市に引き寄せた内容で、印象深いものになった。
なかでも国定市長の商店街から車を閉め出すというアイデアはインパクトがあった。道路の真ん中を危険な車が行き交う状態は商店街と言えるものではなく、車を閉め出すことで生身の人間の手に取り戻し、有効活用しようというもの。山崎さんもこれに賛成した。
おもしろかったのは、翌20日夜にNHK BS-1で生放送された「NHK地球アゴラ」に山崎さんが出演した。テーマは「どうつくる?あしたの商店街」。商店街に人を集めた事例としてイタリアのボローニャとアメリカのチャーチストリートが紹介された。
そのチャーチストリートの取り組みがまさに車を閉め出したというもの。バーモント州の人口約4万人のバーリントン市にあり、商店街を活性化しようと1981年に車の進入を禁止した。前日に国定市長が話したばかりのことがここで実現していた。きのうのきょうの話で、まるで国定市長の構想を補強するかのうようなタイミング。三条でそれができないわけはないと、がぜん、国定市長の構想をリアルにイメージできるようになった。
東京での大学時代を思い返した。30年も前になる。渋谷区の幡ヶ谷にアパートを借りた。アパートまでの道中に6号通り商店街がある。車がすれ違えないくらいの狭い道路沿いにある商店街で、確かに車の乗り入れが制限されていた。ほかの商店街も車が閉め出されて車を気にせずに歩けるのが当たり前だった。しかし、ふるさとの商店街で車を閉め出すという発想をしたことは、まったくない。地元に住む人の多くが同じではないだろうか。
懸念がないわけではない。ドーナツ化現象が進むなか、歩いて商店街へ来られる人だけを対象にして町のにぎわいを演出できるのか、近くまで車で乗り付けるなら駐車場をどう確保するのか、昭栄通り商店街はすでにアーケードまで撤去されたではないか。否定的な意見も出るだろう。チャーチストリートも車を閉め出すのに構想から10年を費やしたと言うから、容易なことではないが、シンポジウムに出席した誰もが期待感をもって受け止めたはずだ。
少々、残念なこともあった。会場で三条市議会の議員の姿が見えなかった。それに気が付いたのも、燕市議会の2人の議員が参加していたからだ。議員がまちづくりに参加しなければならないとは思わないが、主体的にまちづくりにかかわろうとしている市民が、何を考え、どう取り組もうとしているのか、積極的に情報に接してほしいと思った。