福島第一原子力発電所の事故の影響で自宅に帰られない人のために役立ててほしいと三条市元町、ラーメン店「龍昇園」(刈屋栄二さん経営)は24日、同店で実施した「チャリティーラーメン」の売り上げなど6万6,000円余りを福島県双葉郡楢葉町の木戸川漁協に寄付してほしいと五十嵐川漁協に託した。
チャリティーラーメンは、五十嵐川に上ったサケをスープに使った期間限定のラーメン「氷頭(ひず)みそラーメン」(850円)の提供を始めてから毎年行っており、ことしでちょうど10年になった。1日限りの1杯100円のチャリティー価格で販売し、その売り上げすべてを同店のボランティアの名称「三条発掘ネット」として、国内外の被災地への義援金などに寄付している。
今シーズンは昨年11月26日に行い、1杯100円で294杯を販売した。100円以上を置いていく人や、同店の活動に賛同した父親の遺言としてラーメンは食べないのに毎年、1万円を置いていく人もあり、寄付は総額66,805円になった。
今回の寄付先は、楢葉町の木戸川漁協。刈屋さんは、「スポーツニッポン」の釣りサイトにあった奥山文弥さんの記事で、サケが遡上する木戸川が楢葉町の復興の重要な役割を担っていると知った。
氷頭みそラーメンは、三条市の五十嵐川でサケ漁を行う五十嵐川漁協が加工後に廃棄していた部位を活用できないかと考案して生まれた。毎年、無償でわけてもらってラーメンに生まれ変わらせている。
サケへの感謝の気持ち、三条と同じサケつながり、さらに五十嵐川漁協は、平成16年と24年の水害に見舞われるたびに施設などに大きな被害を受けたが、地域の事業所や関係機関など大勢の協力や支援のもとで復活したことから、五十嵐川漁協を通じて木戸川漁協に寄付することにした。
刈谷さんは三条市高岡地内の五十嵐川漁協事務所を訪れ、山井正直代組合長に善意を包んだのしぶくろと、さらに長野市在住で毎年三条市で作品展を開いている画家、荘眠月さんが東日本大震災の被災地や被災者に贈るために描いている色紙68枚とともに手渡した。
五十嵐川漁協はこれまで木戸川漁協とのつきあいはないが、刈屋さんの話を聞いた山井組合長が趣旨に賛同して快く引き受け、同漁協からも「復興を願う」メッセージを加えてから発送する。楢葉町は現在、町の仮役場をいわき市に設置しており、役場を通じて木戸川漁協に送ることにしている。