26日の「文化財防火デー」を前に25日、国登録有形文化財の三条市歴史民俗産業資料館で防災訓練が行われた。
「文化財防火デー」は、昭和24年に法隆寺金堂で火災が発生したのを機に同30年に制定され、この日に合わせて全国各地で文化財の防災訓練が行われる。三条市は同資料館(旧武徳殿)が三条市初の国登録有形文化財に登録されたのにちなんで2010年から同資料館で実施している。
訓練には、同資料館と隣接する図書館、青少年育成センターの職員12人と関係課職員2人、三条市内で初めての民間所有の建造物で国登録有形文化財に登録された嵐渓荘=三条市長野=の大竹啓五社長、文化財保護審議員、消防本部職員など約30人が参加した。
午後3時に出火を知らせる非常ベルがなり、職員が管内を確認したが異常を発見できず、屋外に出た職員が展示室下の倉庫から煙が出ているのを発見し、初期消火を行ったが消し止められず、ほかの職員が119番通報。あわせて入館者の避難誘導や重要品搬送などを行い、まもなく到着した消防車が建物に放水して火を消した。続けて水消火器を使って初期消火訓練も行った。
訓練終了後、三条市消防本部の渡辺健示警防課長が講評を行い、火災が発生したらすることは「消火」、「通報」、「避難誘導」の3つと言い、避難誘導では、来館者は施設に不慣れなので職員は大きな声で、手招きなどをしながら誘導するように、また、各部屋を見て逃げ遅れがないか確認するようにと話した。
今回は参加者に想定した出火場所を知らせないで行うブラインド型で実施しており、発見までかなり時間がかかったことを指摘し、その間、放送施設があるなら館内放送をするなど避難を先に行い、マニュアルがあるのなら見直すようにとアドバイスした。
初期消火ができるのは5分以内の発見が大切、延焼防止には初期消火をすることのほか、火元の部屋の戸を閉めてから次の行動を行うことも大切とした。
家庭も含め、火災はちょっとした油断からおきる。まだ寒い日が続くので火の用心をお願いしたいと求めた。