震災がれきの広域受け入れを進めてきた県内5市は26日、三条市役所で共同記者会見を行った。前日25日に環境省が県内5市への岩手県大槌町の木くずの受け入れ依頼量を昨年8月の6300トンから300トンへと大幅に減少させたことから、新たな木くずを三条市と柏崎市、試験焼却の新潟市保管分を長岡市が焼却することで合意したと発表した。
新潟、長岡、三条、柏崎、新発田の5市の市長が出席し、篠田昭新潟市長が合意内容について話した。環境省の発表では、岩手県大槌町の広域処理依頼量は、昨年8月は2万2,500トンだったのが、1600トンに大幅に減少し、岩手県内の木くず処理は今年度内に終了する考えを示した。県内5市への依頼量も昨年8月の6300トンから300トンへと20分の1以下に減少になった。300トンには先に試験焼却として三条、柏崎、新潟の3市が受け入れた44トンを含むので、実質は256トンになる。
これに伴って5市が協議し、三条市が145トン、柏崎市が111トンを受け入れ、これで計256トン。新潟市が試験焼却のために保管していた19.5トンは長岡市が受け入れることで合意したと発表。篠田市長は「国の方針通り年度内に終了することにしたい」とする一方、大幅な減少に「驚いている」が、「被災地域にとっては前進」と受け止め、岩手県に職員の派遣、物産の販売などの協力をしていくとし、各市長がそれぞれの市の状況などについて述べた。
会田洋柏崎市長は2007年の新潟県中越沖地震でごみ焼却施設の煙突が被災して廃棄物を全国の自治体から廃棄物を処分してもらったことをあげ、「東日本大震災被災地への支援で恩返しをしたいという気持ちを市民の皆さんがもってる」。
森民夫長岡市長は、「長岡市が本格焼却できるがれきが残っていて本当に良かったと思っている」。全国では100自治体の113施設が試験焼却を行い、85自治体の92施設もが本格受け入れしたこと、県内5市の埋め立て基準は国の基準の80分の1である100ベクレル/kgであることを示し、長岡市は数々の災害で全国からの支援で立ち直り、「被災地に何ができるかと考え続けてきた」が、「気が付いたら新潟だけやってなかったというそういう事態を避けることができてほっとしています」。
二階堂馨新発田市長は、当初から4月以降の受け入れで準備してきたが、震災がれきの量が大幅に減ったことは「歓迎したい」、「被災地をひとりぼっちにしない」。
篠田新潟市長は「新潟県は出すものは出すけれども、入れるものは入れないのかという、かなり批判的なお話をいただいている」が、今回、3市の本格受け入れが決まって「新潟県が災害廃棄物の広域処理の空白エリアにならなくて本当にありがたい」。
国定勇人三条市長は、受け入れ可能な状況を整えてきた。昨年3月の共同記者会見以降、足並みをそろえてやってきたが、今後も広域処理だけでなくできる範囲の協力をまた一致団結しながらやっていこうとあわせて確認した」。
その後、記者の質問に答えた。篠田新潟市長は、泉田裕彦知事が広域受け入れに強く反対している状況を「新潟県固有の問題」と表現。新潟市は試験焼却をいったん立ち止まったのは「大変、残念」だが、ごり押しはしないことで「逆に新潟県固有の問題が浮かび上がった」とした。
焼却灰の管理について泉田知事が求めている協議に応じることはあるかという質問には、国定三条市長は「三条市はありません。一般廃棄物の処理権限は市町村にありますから。再三再四申しあげてることであって、そこに知事がおっしゃられるということは理解に苦しみます」。会田柏崎市長は「必要があれば。焼却灰はあくまでも一般廃棄物という考え方」。森長岡市長は「長岡市は協議したいと何も言われていない」と述べた。