燕市産業史料館では、2月1日から17日まで「伊藤豊成 世界のスプーンコレクション展〜七宝スプーンの輝き〜」を開き、同史料館が収蔵する画家だった伊藤豊成さん(1915-2001)のスプーンコレクションのうち七宝が施されたスプーンを特集して展示している。
伊藤さんは愛知県名古屋市に生まれ、医師として働きながら画家としても精力的に活動。60年に美しいスプーンと出会いから世界のスプーンを収集、研究するようになった。同史料館は2008年に伊藤豊成コレクション世界のスプーン館を開設してそれらのスプーンを展示しているが、あらためてテーマを決めて特集し、再構成した展示を楽しんでもらおうと、「プリカジュール」を特集した一昨年に続いて、今回は「七宝焼き」をテーマにした。
集めたスプーンは、欧州やインド、オーストラリア、アルジェリアなどで作られた約100本。七宝焼きはガラス質の材料を金属の上に焼き付ける技術で、エナメルやほうろうも基本は同じ。光沢のある鮮やかな発色でスプーンの皿や絵にアールヌーボーのデザインや紋章、風景などを描いている。
肉眼ではよく見えないくらい細かな細工が施され、虫メガネを置いて見やすくした展示もある。なかでも伊藤さんが「世界で一番美しい、アールヌーボーの七宝」と書き残した1890年にイギリスの企業がインドで製作したスプーン6本のノルウェーの風景セットは、絵画としての構図から、精緻を極めた描写、滑らかなグラデーションが美しく、初日1日に来場した人は「人間が作る宝石だね」とため息をついて鑑賞していた。
日曜の3日は午後2時から3時まで同史料館企画展示室で同史料館学芸員による作品解説会を開く。申し込みは不要だが、入場券だけ必要。
会期中の休館日は4日と12日で、開館時間は午前9時から午後4時半まで。入館料はおとな300円、子ども100円、土、日と祝日は、燕市内の小中学生と付き添いの保護者1人が無料になる。