三条市の下田地区にある秘湯、越後長野温泉「嵐渓荘(らんけいそう)」(大竹啓五社長・三条市長野)では9、10の2日間、「嵐渓荘かまくら祭り」と題して雪を楽しんでもらおうと旅館前の庭に「かまくら」を作って、来館者を迎えている。
7日に大竹社長を含め3人で前庭にかまくらを製作した。小型の除雪機械で雪を飛ばして山に積み上げてから、雪を掘り出した。昔より雪が降らなくなった三条市の市街地ではなかなか体験できないビッグサイズに完成。8日は仕上げやセッティングを行い、かまくらの中には、若女将の作った優しい表情の雪だるまが迎える。
かまくらの大きさは、内部が高さ約160センチ、奥行約3m、幅は2m余りの部屋2つが中でつながっているので約4.5m。おとなが何人も入って楽しめる広さだ。ほかに宿泊客に仕上げをしてもらう未完成のかまくらと、製作体験をしたいという人のための手つかずの雪の山を用意した。
からまくらの背景は昨年、国登録有形文化財に登録された嵐渓荘緑風館。半世紀余り前に燕駅前の旅館を移築したもので、昭和初期の趣を色濃く伝える建物とともに絶品の雪景色を提供する。
下田地区は山を奥へつ向かうにつれてぐんぐん積雪が増える。同館でもこの冬はすでに屋根の雪下ろしを3回。8日の宿周辺の積雪は2m近い。雪が降れば昼夜を問わず駐車場の除雪作業に追われる。日常生活を圧迫する雪だが、その雪が楽しみで県内外から訪れる来館者も少なくない。
これまでも除雪作業に余裕ができるとかまくらを作り、自由に楽しんでもらったが、雪国ならではの雪や冬をもっと楽しんでもらおうと初めてイベントとして企画した。
日中は宿泊者に限らず、日帰り入浴や食事で同館を訪れる人も、自由にかまくらに入ったり、記念撮影したりできる。夕方からのイベントは宿泊者が対象で、明かりを灯したかまくらの中でもちを焼き、汁粉や地酒を味わう。
大竹社長によると、イベントの告知は同旅館のホームページに掲載したていどだったが、予想以上に反響が大きく、にぎわうことになったという。おとなの女性から「かまくらを作ってみたい」、「どんな服装で行ったらいいのか」と問い合わせもあり、同館にとっては厄介者だった雪が逆に来館者を呼び込むことに驚く。
かまくらは、気温が上がって雪がとけ始めると危険なので、基本的にはこの2日間限りのお楽しみ。嵐渓荘正面の緑風館は昨年、国登録有形文化財に登録されており、を背景に作られたかまくらは期間限定の景色だ。日帰り入浴は、午前11時から3時半までで、おとな1,000円、子ども700円。