西蒲・燕科学教育センター(代表・藤沢健一燕市教育長)では、14日から26日までの間に希望のあった燕市内9小学校を対象に放射線出前授業を行っている。
文部科学省は放射線に対する正しい理解を深めてもらおうと放射線副読本を作成し、希望のあった学校に配布しており、県内でも9割を超す学校が配布を受けているという。
こうした動きにあわせて西蒲・燕科学教育センターは、市内15小学校を対象に放射線出前授業を行おうと案内したところ、9小学校から希望があった。
18日は吉田小学校(海藤英紀校長・児童504人)で行い、5時限は5年生103人を全国各地で同様の出前講座の講師を行っている舟生武司さんが講師を務めた。舟生さんの話のあと、放射線測定器を使って実際に放射線量を測定した。
白衣を着てプロジェクターを使って話す舟生さんは、子どもたちにはテレビ番組で見る“でんじろう先生”のようなイメージだ。自身の“ふにゅう”と読む珍しい名字に「おかしいと思う人は、今のうちに笑っておいてください」と笑いもいっぱいに、放射線は「見えない、聞こえない、感じないけど、どこにでもあるんだよ」と必要以上に怖がる必要はないが、線量が高いと問題になると話した。
放射線の研究でノーベル賞を受けた科学者についても話し、レントゲンが人の名前であることを話すと「へっ?!」と声を上げて驚く児童も。
夜光塗料にも放射線を出すものがあり、コンブや塩も同様だが、問題にならないのは、放射線が少ないから。放射線はレントゲンなど医療に役立ち、放射線を当ててゴムやプラスチックを強化したり、殺菌したり、ガラスを着色したりもできる。ただ、「放射線を当てたものから放射線が出るわけではない」ので誤解しないよう求めた。
後半は2人1組で文部科学省の放射線測定器「はかるくん」を使い、実際に放射線を測定した。電源を入れた状態で0.02マイクロシーベルト台。それからプラスチック容器に入れたカリ肥料、マントル、花こう岩など5種類の物質の放射線を測定すると、0.05マイクロシーベルトに上がった。
なかでも高かったのが、マントル。ランタンなどにう使われる発光体で、放射性物資のトリウムを含む。マントルの測定値は軒並み1マイクロシーベルトを超え、児童は身の回りにたくさんの放射性物質が存在することを自分で計測し、実感していた。
海藤校長は、「担任ではない外部の先生の授業に緊張感や期待感もあり、子どもたちには非常に有意な授業」と話していた。