三条市は25日、福島県相馬市と災害時の相互応援協定を結んだ。三条市が県外の自治体と相互応援協定を結ぶのは、千葉県栄町、三重県菰野町、ことしに入って1月の福島県伊達市との協定に続いて4カ所目。さらに28日には静岡県三島市とも同様の協定を結ぶ。
午後2時から三条市・東公民館で締結式を行った。相馬市からは立谷秀清市長、佐藤満市議会議長、小泉正人市議会副議長、只野敬三市議会運営委員会委員長らが訪れ、市職員や自治会長など市民も含めて約100人が見守るなか、立谷市長と国定勇人三条市長が協定書に調印した。
全国の首長でつくる「地方を守る会」で国定市長は代表世話人、立谷市長は代表幹事で志を同じくする旧知の仲のこともあり、継続的な取り組みをと応援協定を結ぶことになった。
冒頭のあいさつで国定市長は、東日本大震災で三条市は福島県南相馬市からの避難者を大勢受け入れたが、相馬市はその北隣に位置し、震災による犠牲者は458人にのぼり、避難者が今も2,120人にのぼることを紹介した。
2011年の7.29水害では、三条市が要請しないうちから相馬市から給水車が三条市へ向かった。そこで災害時の遠隔地との相互応援の重要性に気付かされた。その気づきを与えてくれた相馬市と協定を結べるのは「万感胸に迫る思い」。万が一、相馬市に甚大な被害が発生することがあれば、「市民一丸となって応援すべく駆けつけてまいりたい」と決意を話した。
報道関係者の取材に応えて立谷市長は、三条市が相馬市に職員2人を派遣していることに感謝し、「どういう形で恩返しができるかを考えている」と話した。7.29水害では長岡市長に義理を返さなければと長岡市長に電話したら三条が大変なので三条の方へと言われ、水とカップ麺を送り、それから国定市長との付き合いが始まった。
国定市長には「いずれ日本の地方自治を背負っていかれる方だなと」、「われわれも随分、甘えてきた」と言い、協定締結により「三条市に何かあったらできるだけのことを恩返ししなくちゃならない。そういう仕掛けもいろいろ考えている」。
地震、津波、放射線被害の三重苦のなかで役所は何をすべきか、どうやって復興すべきを三条市から派遣されている職員に学習してほしいと言い、「その成果が表れた三条市と、復興がなった相馬市が新し時代のお付き合いをしていきたい」と期待した。
続いて立谷市長は「震災対応から生活再建」をテーマに記念講演を行った。東日本大震災発生時の相馬市の対応、その後の医療支援や自殺対策やPTSD対策といった心の支援などに取り組んだ。子どもたちのPTSD対策に共感したルイ・ヴィトンは、1億3,000万円を寄付してくれ、年内にルイ・ヴィトンハウス「LVMH子どもアート・メゾン」が完成する。
震災孤児義援金条例を制定し、51人の震災孤児に18歳まで毎月3万円を支給し、さらに大学進学で奨学金と生活費7万6,000円を支給し、そのための基金を5億1,000万円を目標に募ったところ、すでに4億9,500万円ににぼり、3月で募集をやめる。
さらに、避難所での栄養管理、仮説住宅マネジメント、一人暮らしへの声かけ、環境や食糧、体の放射線測定、除線システム、農地復旧復興プロジェクトなどを紹介。新しい箱物として交流拠点や防拠拠点となる磯部コミュニティセンター、防災備蓄倉庫、漁具倉庫付き個別作業所、松川浦漁港荷捌施設、新市民会館などの建設計画も話した。参加した人たちは、東日本大震災で災害対応の陣頭指揮をとった立谷市長の話に熱心に聴き入っていた。