三条市議会3月定例会の初日4日、国定勇人市長が施政方針演説を行い、守るべき三条市の軸は「ものづくり」としてさらに強固なものにしていくなどの考えを述べ、来年度「さらに積極果敢に市政を展開していく」と、任期7年目となる平成25年度の施政方針を示した。
国定市長は、昨年と同じく、初めに間もなく2年となる東日本大震災と一昨年、三条市を襲った7.29水害にふれた。
全国から集まる支援の力や被災した方々が助け合いながら強く前向きに生きる姿から気づかされた日本国民が受け継いできた大切なものの1つが「絆」だったとしたが、日常の政治や社会では暗黙のルールとして共有してきた価値観の「軸」が失われつつあり、それによって日本は地盤沈下を行しているのではと危惧。
三条市においても対岸の火事ではないとし、守るべき三条市の「軸」の「ものづくり」を強固にしていくため、できる限りの施策を講じていくことが最も重要。さらに、技術を受け継ぎ進化させる「人」への投資を行うとした。
また、行政の本質としての「軸」は、市民が元気で幸せに暮らせるまちをつくり、次代に引き継ぐこと。7.29豪雨災害の復旧、復興を引き続き最優先課題として取り組む。4月に全市一斉で本格スタートする小中一貫教育の効果を発揮できる環境を整えていく。さらに、重点施策としている「5つの徹底」「3つの基盤」こそが行政の「軸」であるとし、成し遂げることがさらに三条市を持続可能な発展へ導いていくと考えを示した。
5つの徹底は、「地域経済の再活性化」、「子育て環境の充実」、「スマートウエルネス三条の推進」、「シティセールスの推進」、「市民参加の徹底」の5つの徹底、3つの基盤は「行財政改革の推進」、「社会インフラの整備」、「力強い地域基盤の確立」。それぞれの内容を示したほか、「平成25年度予算案の概要」などを話した。
「地域経済の再活性化」では、「人」への投資を最重要とし、燕三条地場産業振興センターの技術系講座を「燕三条ものづくり大学」にリニューアル、産学官連携でそれぞれのノウハウを活かした一体的な技術家人材の教育環境整備、若年層の新規創業を促すためのインキュベーション機能を持ったものづくり拠点設置の検討、「若年層雇用拡大奨励金交付制度」創設。農業者の主体的活動を支援する「農業者グループ研究支援事業」創設などを行う。
「子育て環境の充実」では、子どもたちの発達段階に応じた支援をしていく「子どもの育ちサポートセンター」設置、「ものづくり」をカリュキュラムの一環として位置づけたものづくり体験。2度の水害の教訓など災害発生時に子どもたちが自ら適切に災害に対応できる防災教育の推進、あわせて、防災教育の拠点施設を競馬場跡地に整備する。
「スマートウエルネス三条の推進」では、「ゾーン30」の導入などを行いながら、道路そのものの在り方を見直していく。さらに、総合計画の7つの基本目標などでは、7.29豪雨災害からの復旧復興の取組で五十嵐川を中心とした水系の抜本的な総合治水対策に全力で取り組む、下田地域の森町小学校と荒沢小学校の統合。技術系大学のクリエーター育成機関とともに「ものづくり」の連携による「(仮称)新たな魅力創造事業」創設、地域防災計画原子力災害対策編を新たに策定することなどを説明した。
終始、はっきりとした口調で話した国定市長は、最後に「これまで幾多の試練を市民全員が力をひとつにして乗り越えてまいりました。それが誇りや自信、そして自らの力で成長していこうという気概につながっているものと思っております」と述べ、その財産が未来への糧として発展し続けることが、日本を形づくることにもつながるものと信じ、来年度はさらに、積極果敢に市政を展開していくとして協力を求め、50分間の演説を締めくくった。