東日本大震災の影響で三条市が開設した避難所で避難していた人を力づけたマツの木が枯れたことを受け、マツの復活を目指して募金活動やフリーマーケット参加などを行ってきた福島県南相馬市の佐竹紀さんらが15日、再び植樹してほしいと三条市に「五葉松一式」の目録を贈った。
佐竹さんは、2011年3月の東日本大震災発生後、3月16日夜に3カ所目の避難所として開設された三条市総合福祉センターに避難した。同センター玄関前には三条市の木、ゴヨウマツがあり、青々とした葉を茂らせていた。すぐ隣りが喫煙スペースだったこともあり、避難していた人たちがそのマツの木の下で、涙して不安な気持ちを話し合ったり、励まし合ったりした場所でもあり、佐竹さんは「心の木」だったと言う。
その年の8月末に避難所が閉鎖されたあと、9月半ばころからそのマツが枯れ始めていることに気付いた。同センターは対応を検討したが10月末には完全に枯れてしまい、11月末に撤去工事が行われた。
佐竹さんは「あたかも避難者たちの心労を身代わりするかのようにして枯れた」と信じる。小さいころから目にしていた郷里、南相馬市小高区の浜辺にあった松林にも思い入れがあるが、すべて津波によって流された。その思いを知った避難所開設時からのボランティアのグループも協力してゴヨウマツを復活させる資金を集めようと、募金や家庭の遊休品販売を行った。その金額が目標の10万円に届き、震災から2年たって「ひとつの区切りとして」この日の寄付が実現した。
午前10時前ころ、佐竹さんとボランティアグループ「結」の会の金子敏美会長と事務局の千葉和子さんの3人が市役所を訪れた。佐竹さんは「2年間の避難生活をつつがなく送るころができたことへの感謝の気持ちと早期復興の願いを込めている」として、国定市長にマツを植えるための費用など一式とする目録を手渡した。
国定市長は、一区切りと言われましたが、まだまだ「支援し続ける」と約束し、これからよろしくお願いしますと礼を述べた。\