県立新潟盲学校に小学5年生、三条市の佐藤英里(ひらり)ちゃん(11)が23日、東日本大震災の避難所だった三条市総合福祉センターで2011年5月以来約2年ぶりにミニミニコンサートを開き、東日本大震災のために市内で避難生活をする福島県の人たちを再び歌で元気づけた。
同センターにある避難者の交流ルーム「ひばり」で開いた。タイトルは佐藤英里さんミニミニコンサート in 交流ルームひばり「みんなの未来に」。三条市内に福島から避難している人など20人余りを前に「この会で歌えるのを本当に楽しみにしてきました」と、キーボードの弾き語りと音楽仲間のマーシー野村さんのギターとともに約1時間のステージを行った。
ひらりちゃんは、「一番最初に好きになった歌手美空ひばりさんの『愛燦燦』です。みなさんの心も愛であふれますようにと心を込めて歌います」、「どのイベントでも歌っている本田美奈子さんの『アメイジング・グレイス』です」、「みなさんの心のなかにあるふるさとを思って歌ってください」と『故郷』を演奏した。
ひらりちゃん作詞作曲のオリジナル曲『みらい』の紹介では、「東日本大震災のあと、わたしにも何かできないかなとつくらせてもらった曲です」と紹介しながら、次々と演奏した。
長い髪を耳の上で水玉のヘアゴムで二つに束ねたて笑顔のひらりちゃん。小学生とは思えないような深くのびやかな歌声と歌唱力に子どもから年配の人まで引き込まれ、1曲終わるたびに拍手を送り、自然とあふれる涙をハンカチでふく人もいた。
ひらりちゃんのファンになったという福島県南相馬市小高区から避難している小学2年生の吉岡達也君は「いい歌声。目が見えないのに(キーボードを)弾けるのがすごい」と言うと、ひらりちゃんは「目が見えるとか、見えないとかは関係ないんだよ」とにっこりと返した。おとなのファンが多いなかで弟のような小さなファンとの会話では、「どんな歌が好きなの?」、「三条弁教えてあげるね」とひらりちゃんから質問したり、大好きという「初音ミク」の話題で盛り上がっていた。
今回のミニミニコンサートは、震災から2年目の11日に同所で行われた献花に、ひらりちゃんも母と訪れ、そのときに、まもなく福島に戻る人がいることを知り、その前に歌を聴いてもらえたらと急遽開催が決定。同センターが避難所だった平成23年5月は多目的ホールで弾き語りを行い、多くの人がひらりちゃんの歌声と笑顔に元気をもらっており、以来、同所では2回目だった。