燕市立小・中学校の発展を願う市民の会(遠藤栄松会長)と燕中等教育学校を支援する会(田野隆夫会長)は26日、4月1日付けで長岡大手高校校長に就くことが決まった藤沢健一教育長の教育講演会を開いた。
高校教諭を務めてきた藤沢教育長が2010年7月1日に教育長に就任して間もなく2年9カ月。燕市の教育の現状と進むべき方向について途中経過を聞き、引き続き応援していこうと教育講演会を企画した。が、結果的に辞任を前にした記念講演会のような形になった。
主催した両団体から約50人が出席。燕市立小・中学校の発展を願う市民の会の遠藤会長は「教育講演会が記念講演会になりました」と言い、藤沢教育長の取り組みが「いよいよこれから成果が出るというときに退任されるということが誠に残念」、「付き合えば付き合うほど、かめばかむほど味のある人だった」と辞任を惜しんだ。
講演のテーマは「燕市の教育の現状と今後の進むべき方向性について」。藤沢教育長は、教育長になった当初はまだ若すぎるのではとも言われたが、「今はちょっと寂しい気持ち」、教育長として「長くしゃべるのはここが最後になる」と話し始めた。
2005年に燕中等教育学校が開校したが、その前年に当時の教頭に中等教育型にすると電話したのが藤沢教育長だった。学校名を考え、第1回の入学式にも高等学校教育課から応援に向かった。そのときの子どもたちが初めてことしの燕市成人式に出席した。
2011年から市内小学校でスタートした燕長善タイムをスタートした。岐阜県多治見市が取り組む脳活を燕市に持ち込んだもので、「人のものもってくるのをわたしはなんとも思わない」と良いことを真似るのにちゅうちょはない。
昨年、完成した「つばめっ子かるた」の原画の制作を絵本作家、黒井健さんに依頼するのに、娘がいかに黒井さんの作品を愛してるのかをつづった“密書”を担当者に託した。昨年スタートした燕ジュニア検定は間違ったことは教えられないと旧市町の市史や町史にあたり、現地の人にも取材して確かなことだけで問題を作成した。
これまでの取り組みの裏話を話す一方、「個性は人と比べられない。個性はいいこととは限らないと今は思っている。組織のなかで生かされる個性でなければならない」、「過度な競争はいけないが、適度な競争があった方がいい」、「勝つことが正義じゃない。勝つも負けるも試合に出ないとない。努力することを重視したい」と「学校は教諭がすべて。やりやすい環境を整えるのが教育委員会の仕事」と持論を示した。
自身が“メモ魔”というように、これまでさまざまなシーンで書き留めた気になった言葉を紹介し、それに自身の考えを加えて紹介した。燕市の保護者に対しては「教員の悪口が一切なかった」と感謝し、「ただ、たまには教育の中身について提言があったが、そこは現場の教員に任せてほしい」とも。最後に藤沢教育長に退任の記念で洋食器のディナーセットなどを贈った。
講演後、藤沢教育長は「やりきったとはまでは言えませんが、先生方が協力してくれ、やりたいことができたと思います」と自己分析。実施や採点を地域のボランティアが支えた燕ジュニア検定は継続が大事で、「地域と教育がつながる場になるので毎年、続けていってほしい」と願った。