21日の分水おいらん道中にあわせてJR東日本は17日、新潟駅と分水駅の間を往復する初めての臨時列車「分水夜桜号」を運行した。約80人が乗車して分水駅のホームに沿って並ぶ花真っ盛りのサクラと見送りに訪れたおいらん道中のあでやかなおいらん役で春をたっぷり満喫した。
運行は17日と24日の2回あり、この日はその1回目。いずれも往路は新潟駅発17時53分、分水駅着19時10分、復路は分水駅発20時08分、新潟駅着21時30分。車両は2001年から羽越本線の新潟ー酒田間で定期運行しているジョイフルトレイン「きらきらうえつ」で、「きらきらうえつ」が信越本線、弥彦線に入線するのは珍しい。
分水駅の夜桜は県央地域でも随一。おいらん道中を中心とした分水サクラまつりにあわせて12日から25日まで燕市観光協会がライトアップを行っており、駅のホームに沿って並ぶサクラ並木を投光器で照らしているほか、駅前庭の植木にイルミネーションも飾っている。
カラフルに彩られた「きらきらうえつ」に約80人が乗車。車内では新潟市西蒲区の酒蔵「越後鶴亀」による酒の試飲やおいしい飲み方のアドバイスも。仕事が終わって職場の仲間と参加したグループは、顔を赤くしてすっかり上機嫌。鉄道ファンの参加もあり、吉田駅からも数人が乗車した。
分水駅に到着して車外へ出ると、頭上にはまぶしいくらいのライトアップされたサクラの花が覆いかぶさるように咲き、思わず「すげーっ!」、「最高だね!」と大きな声を上げる人も。鉄道ファンはさっそく駅に停車した「きらきらうえつ」を撮影。写真好きな人は時間をかけてサクラの撮影に集中。さらにサクラを背に記念撮影し、夢のような夜桜の空間を楽しんだ。
駅前では分水商工会青年部が軽食を販売した。この日は分水のおいらん道中のおいらん役4人が近くの分水福祉センターで本番を前に最後の歩き方の練習を行っており、練習が終わるとおいらんを支えて歩く4人の「ほうかん役」とともに練習着に桜色のはっぴを着て乗客の分水駅を訪れた。
ホームや車内を歩きながら乗客に笑顔を振りまき、おいらん道中のちらしを配布して、おいらん道中への参加を呼びかけ、走り去る「きらきらうえつ」に手を振って見送った。
鈴木力燕市長も吉田駅から乗車し、吉田駅に到着する「きらきらうえつ」から写真を撮りっぱなし。すると一眼レフカメラを下げた燕三条駅の時田康弘駅長も車内へ。鉄道ファンのようで、「仕事が終わってから急いで来ました」とプライベートで参加。それぞれに分水夜桜号の趣向を満喫した。
燕市は以前から臨時列車の運行を働きかけてきたが、来年4月から6月にかけて新潟県でディスティネーションキャンペーンが行われることもあってか今回、初めての運行となった。JR東日本新潟支社営業部販売課の和田佳史旅行業担当課長は、今回は準備期間が短く、「来年はもうちょっと早く燕市観光協会と連携を密にして、駅前での物販などいろいろやらせてもらえれば」と話していた。