燕市産業史料館は、このほど展示ケースの寄贈を受け、人間国宝で燕市の名誉市民でもある金工家、玉川宣夫さん(71)の特別展示室を開設した。
展示ケースは、先に閉館になった長岡市寺泊、相澤美術館から寄贈を受けた。陶芸作品の展示に使われた四方にガラスがはめこまれた直方体の展示ケースで、棚が2段のものと3段のものを4ケースずつ。そのうち3段のひとつを除く7ケースを使っている。
もともとは館長室として設けられながら実際にはその目的で使われたことのない第三展示室を玉川さんの特別展示室に充て、7つの展示ケースに玉川さんの作品19点を展示した。うち同史料館所蔵は3点だけ。それ以外は玉川さんに依頼すると貸し出しを快諾してくれた。
展示ケースはいかにも重厚で、玉川さんが得意とする高度な技術に加えて体力も必要とする“木目金”と呼ばれる手法を凝らした花瓶をはじめ、ときに挑戦的で前衛的な作品の魅力をぐっと引き締めて見せてくれている。
玉川さんが人間国宝となって以来、玉川さんの特別展示室の設置を望む声が高まっているが、今回は展示ケースの寄贈を受けたことで、費用をまったくかけずに暫定的な特別展示室を設けることができた。19日から5月6日まで同史料館で開かれている金工の職人の手仕事を紹介する第39回燕手仕事展に間に合った。同展の見学に訪れる人には、あわせて特別展示室の見学も呼びかけている。
燕手仕事展では、日曜の21日に渡辺和也さん、28日に玉川達士さん、5月5日に西片正さんをそれぞれ講師にいずれも午後2時から3時まで作品解説会が開かれる。問い合わせは同史料館(電話:0256-63-7666)へ。