燕市の新庁舎を訪れる人に玄関口で燕市の研磨職人の技術の粋と心意気を見せてやろうと、市内の研磨業者でつくる親ぼく会「燕磨(えんま)の会」(長谷川隆夫会長・会員18人)は、ボランティアで新庁舎の正面玄関を飾る「燕市役所」などの切り文字にミラー(鏡面)仕上げを施し、新庁舎が一般公開された27日は会員が集まって記念写真を撮った。
切り文字は正面玄関前のコンクリートの外壁、定礎の上に設置したもので、燕市の市章の下にある「燕市役所」の漢字4文字と「Tsubame City Office」のローマ字17文字。漢字は縦横30センチ四方の大きさだ。
会員がそれぞれ持ち帰ったり、燕市磨き屋一番館に集まったりして研磨。800番から1,000番くらいのレベルでミラー仕上げを施した。番数が大きいほど表面が滑らかになるが、比例して技術も時間も必要になる。
受注する仕事は600番以下の仕上げがほとんどだが、今回はボランティアにもかかわらず、燕市内の研磨業者によるミラー仕上げが大きな注目を集めた初代iPodの背面並みの滑らかさに仕上げた。
27日の記念撮影には会員14人が集まった。あらためて切り文字をチェックしたところ、切り文字の縁に“バリ”が残されているのに気づき、「これは、だめろ」と、テーブルに上がってその場でバリを取り除き、「いやー、ひと仕事したの」と大笑いする場面も。
設置された切り文字に「なんか、ちんこいね」と冗談を言い合いながら、自分の手で磨いた切り文字が新庁舎に設置されているようすを満足そうにながめていた。
今回は燕市と同会の“あうんの呼吸”のなかで、無償で切り文字を研磨することになった。同会の研磨のボランティアは、2010年に飛燕夏まつり名物の豚汁を調理する大鍋を磨いて以来3年ぶり。
会長のワールド研磨社長、長谷川隆夫さん(61)=八王寺=は、「透明感のある仕上げ」と胸を張る。「金銭問題は全然、抜きにして逆に、おらにさしてくれいう立場らこてね」、「磨き屋のノリらっけ、こういうのボランティアでやる気持ちらこてね」とも。
会員たちには「コンクリートは百年もつということなので、これも百年はあると思います」と話し、ほかの会員がすかさず「そこまで生きてらんねお」と突っ込み、みんなで笑っていた。