持っている人同士がつながるきっかけになればと燕市の女性が「つばめステッカー」を製作、口コミでじわじわ人気 (2013.4.28)

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「持っている人同士がつながるきっかけになれば」と、生まれてからずっと旧燕市の真ん中、燕市宮町に住む捧美佳(ささげ・はるか)さん(27)が、デザインの腕を生かして“燕市”にかけた「つばめステッカー」を製作した。おしゃれなデザインもあって口コミで人気が広がり始め、捧さんの願いは一歩一歩、着実に実現している。

捧美佳さんが製作、1枚80円で販売している「つばめステッカー」
捧美佳さんが製作、1枚80円で販売している「つばめステッカー」

捧さんは新潟デザイン専門学校を卒業。勤め先でちらしデザインを手掛ける。パソコンでデザインするのはお手の物。4月になるころからデザインし、13日に納品された。

羽を広げて飛ぶツバメを真下から見上げた姿をデザインした。体長55ミリ、翼幅は65ミリほど。シールをツバメの形に切り抜くことを前提にデザインしたので、ツバメの輪郭は描かなかった。

地にカラフルな図柄を描き、その上に頭と両方の翼、尾を配置した。さらに心臓の位置にハートをデザイン。「これからの燕市を担う若い人たち、成長していく人たちに向けて鼓動を表現しました」と捧さん。印刷は白黒も考えたが、それではおしゃれでかわいくならないので、費用はかさんでもフルカラーにした。「つまらないことはやりたくない」と言う。

いつも笑顔の捧さん
いつも笑顔の捧さん

100枚を製作し、1枚80円で販売。「売れたお金で増刷していければ」という価格設定だが、納品からわずか1週間で完売し、今度は200枚を増刷した。まとめて30枚買ってくれる人もいた。宮崎県に住む友だちからもギターに張りたいと注文を受け、10枚を発送した。

売るのに大した苦労はない。最初は友だちにつばめステッカーを作ったことを教えたくらい。値段が安いので、気軽に買ってくれる。つばめステッカーが受け入れられないならそこまでだが、買った人がまた友だちに勧めてくれる。口コミで評判が広がり、何もしないのに注文がくる。

デザイン段階から想定した通り、つばめステッカーを買った人のほとんどが、携帯電話やスマホに張っている。どこでも手に入るものではないプレミア感もあり、持っている人同士が見せ合って、にやり。友だちを介して知らない人同士が互いにつばめステッカーを持っていて、意気投合することも。これこそが捧さんのねらいだ。

自分で作った「つばめステッカー」を張ったiPhoneを操作する捧さん
自分で作った「つばめステッカー」を張ったiPhoneを操作する捧さん

捧さんは音楽、バンドが大好きで、バンドTシャツがヒントになった。「同じバンドのTシャツを持ってたりするじゃないですか。そうすると、あっ、あたしもそれ、持ってる!で、つながることがありますよね。自分でもそれができるんじゃいかと思って」と考えた。

家はサンロード宮町商店街に面したコメや日用雑貨を売る捧清五郎商店。3人姉妹の長女で、小学生のころは鎮守の戸隠神社で行われる春祭りで、木場小路万灯組の踊り子「お玉さん」を務めた。一昨年から今度は記録係として万灯を手伝っている。生粋の燕っ子で、「燕が好きだから」と何の照れもない。「前からウチの商店街がだめになって、何かできないかとずっと考えてました」と言う。

“三条”などふつうの市町村名はイラスト化するのが難しいが、“燕市”は鳥の“ツバメ”をデザインすればいい。友だちからは、名前自体がかわいいと言われた。その“ツバメ”と、自分の作るもので人と人がつながってほしいという思いとがつながって、つばめステッカーが誕生した。

27日の燕市新庁舎の一般開放でずらりとそろった「つばめステッカー」
27日の燕市新庁舎の一般開放でずらりとそろった「つばめステッカー」

ステッカーを買った人同士のつながり方に、こだわりはない。燕市への興味がなくても、ステッカーがかわいいでも、デザインがいいでも、ステッカーを買う理由は何でも構わない。

「最終的には自己満足。自分が楽しみたいからやってるだけです」と捧さん。27日、燕市新庁舎の一般開放に出掛けたら、たまたまそこで何人もが、つばめステッカーを見せてくれ、大きな目を真ん丸にして驚いた。「すごくうれしかった。こうやって、あっ、こことここがつながったって、ワクワクするし、ドキドキするじゃないですか」。

ステッカーの第二弾も検討しているが、ステッカーでまちづくりをしようなどといった大きな考えはない。「ステッカーが無くなっても、人と人とはつながっていきます。そっちの方が大事です」とあくまでもステッカーは人がつながる手段ととらえる。

「自分が楽しみたいからやってるだけ」と話す捧さんはちゃめっけもたっぷり
「自分が楽しみたいからやってるだけ」と話す捧さんはちゃめっけもたっぷり

捧さんは6月下旬にスタートする燕市の20年後の将来像「未来ビジョン」を描く燕市の「つばめ若者会議」に参加を申し込み、第1号のメンバーになった。物心ついたころから近所の知り合いで木場小路万灯組の中心メンバーでもある小林由明市議に勧められ、興味をもったので参加してみることにした。捧さんの感性がどんな形で未来ビジョンに生かされるか楽しみだ。つばめステッカーは捧清五郎商店でも扱っている。問い合わせは捧さんへメール(tsubamesticker@gmail.com)で。

また、燕市はイメージにしにくい「つばめ若者会議」がどんなものになるかを若い人たちに知ってもらおうと、5月12日午前11時から新庁舎の「つばめホール」で「つばめ若者会議」のプチ交流会付きガイダンスを開くので、興味のある人に気軽な参加を呼びかけている。対象はおおむね39歳以下で、参加費は軽食代付きで1,500円。参加申し込みは5月7日午後5時までに企画財政部地域振興課へメール(chiiki@city.tsubame.niigata.jp)かファクシミリ(5月2日まで0256-92-2110、7日以降は0256-77-8306)、電話(5月2日まで0256-92-2111、7日以降は0256-77-8361)へ。

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