岩手県の千葉茂樹副知事が9日、三条市役所を訪れ、震災がれきの広域受け入れを表明した新潟県内5市の市長らと懇談した。
岩手県から3人と三条、新潟、長岡、柏崎、新発田の5市から13人が出席。千葉副知事は放射性物質に対する国民の不安が広がるなか、水害や中越大震災を経験した新潟県内の各地域が災害廃棄物を受け入れてくれた温かい気持ちとリーダーシップに感謝。これが柱材・角材や不燃物の処理につながり、宮城県と岩手県の今年度内の処理完了のめどがたったと感謝した。
岩手県の災害廃棄物は総量525万トンで、平成24年度末に約4割の処理が進んだ。新潟県5市では300トンを受け入れてくれ、今年度からは新潟市が災害廃棄物担当部署に職員1人、長岡市から大槌町の復興担当に職員1人を派遣してもらっているが、「今なお現地ではマンパワーが不足している状況」とした。
三条市の国定勇人は県内5市の受け入れ量が300トンと少なかったことについて「心苦しく思いながら」、「恥ずかしいような思いをあわせてもちあわせている」とする一方、引き続き岩手県、大槌町に対する復興支援を5市が連携して模索、実践したいとした。
国定市長は5月1、2日と岩手県、大槌町を訪問し、大槌町の主力産業だった漁業、水産加工業がまったく操業が復活していない状況、人口が大幅に減り、5,000人近くが今も応急仮設住宅で生活している現状を話した。大槌町は小中一貫教育で小中一体校の建設を進めていることから、三条市は小中一貫教育に取り組んで4年たっていることからその支援や、応急仮設住宅で生活する人の生活不活発症対策などを支援したいとした。
新潟市の篠田昭市長は、新潟市は直接、処理に携わることができず、「時間切れになった」ことに「きょうは恐縮の思い」だが、岩手県全体の災害廃棄物の処理の役にたてればと職員を派遣していると話した。
長岡市の森民夫市長は、長岡市は中越地震で全国から支援を受けており、反対運動もあったが「むしろ東北地域をご支援するのは当然のことと市民全員そう思っている」とした。
新発田市の二階堂市長は、がれき受け入れを心配する声もあり、「今回は間に合いませんでしたけれども、今後またなにか新発田市ができるようなことがあればまた声をかけていただければ大変ありがたい」。
柏崎市の山田哲治副市長は、中越地震で焼却場で4カ月間ほどごみ処理ができなくなったときに県内、全国から支援を受けた経験からぜひ受け入れてほしいという声があったことを話した。
あらためて今の岩手県の最大の課題について国定市長が聞くと千葉副知事は、応急仮設住宅を出て本来の住宅に移ってもらうことで、「住まいだけはきちんとした所で住んでいただくようなことをまず最優先」とした。
森市長は建設労働者の不足を心配し、それが顕在化していないのは用地の取得が滞っているからと指摘。これについて千葉副知事は「国の積極的な関与が必要」、森市長は「復興庁に声をかけた方がいい」、篠田市長は「やれる土台ができていただければ、われわれも建設業者さんとぜひやりたい」などと話した。
最後に千葉副知事は、数量に関係なく、助けてもらったことに「感謝の気持ちでいっぱい」で、「ぜひこれからもいろんな面でご支援を」と願った。