三条市諸橋轍次記念館では、同記念館が顕彰する諸橋轍次博士の生誕130周年記念事業として6月から10月まで一流講師陣による4回シリーズの漢字・漢文学講座を開く。
8月を除く毎月1回、いずれも午後2時から同記念館で開く。日程と講師、テーマは、6月8日に京都大学大学院人間・環境学研究所教授の阿辻哲次さんで「情報化時代の漢字研究」、7月6日に仏教大学名誉教授の吉田富夫さんで「莫言ノーベル文学賞授賞式の印象」、9月7日に孔子第75代直系子孫の孔健さんで「孔家の教育」、10月13日に早稲田大学社会科学総合学術院教授の笹原宏之さんで「日本漢字と地方色豊かな漢字」。
諸橋轍次博士(1883-1982)は漢学者で三条市名誉市民。ことしが生誕130周年となったことから企画したもので、これまでも単発でこうした講座を開いたことはあるが、シリーズ化して開くのは初めて。地元でめったに聞かれない漢字や漢文学に精通する国内の著名な一流講師陣がそれぞれのテーマでわかりやすく解説してくれる。
受講料は4回分の資料代で500円、定員150人。受講したい人は住所、名前、電話番号を電話かファクシミリで諸橋轍次記念館(電話・ファクシミリ:0256-47-2208)か三条市中央公民館(電話:0256-47-0048、ファクシミリ:0256-32-5476)へ申し込む。
阿辻 哲次(あつじ てつじ、1951年 - )
日本の中国文学者・言語学者(中国語)、中国文字文化史研究者。 京都大学大学院人間・環境学研究科教授。文化庁文化審議会国語分科会漢字小委員会委員で、2010年の常用漢字追加の選定に携わる。
漢字の研究で知られる。吉川幸次郎や藤堂明保の中国学の流れを受け継いでおり、白川静の学説に対しては批判的な立場にある。
経歴・人物
大阪府出身。家業が印刷工場であり、人名などで活字にない文字が注文された際に、既存の活字を削るなどしていたのを見て、漢字に興味を抱く。
著書
吉田 富夫(よしだ とみお、1935年 - )
中国文学者、佛教大学名誉教授。
経歴
広島県賀茂郡福富町(現・東広島市)生まれ。1958年京都大学文学部中国文学科卒、1963年同大学院博士課程単位取得満期退学。1967年京大文学部助手、1972年佛教大学文学部講師、1974年助教授、1979年教授、2008年定年退任、名誉教授。現代中国研究会代表。中国現代文学専攻。中国現代文学の長編の翻訳で知られ、莫言の著作を数多く翻訳し、日本に紹介してきた。2003年来日した莫言を広島福富町のかやぶきの生家に招いたこともあり、現在もメールでやりとりがある。2012年12月、莫言のノーベル文学賞受賞に際して、莫言の推薦でノーベル賞授賞式、受賞パーティーに夫妻で出席した
著書
孔健(コウ・ケン/孔祥林、1958年 - )
中華人民共和国出身の作家、孔子研究家、SBI大学院大学教授、チャイニーズドラゴン新聞主幹、日中関係評論家。孔子の第75代直系子孫である。
略歴
著書
笹原 宏之(ささはら ひろゆき、1965年 - )
日本の国語学者・言語学者、博士 (文学)(早稲田大学)。早稲田大学社会科学部・社会科学総合学術院教授。日本製漢字である国字研究の第一人者。文化庁 文化審議会国語分科会で、常用漢字の選定・改定作業に携わる。
人物
東京都出身。小学生の頃より漢字の面白さに惹かれ、中学生になると世界最大の漢和辞典として知られる「大漢和辞典」を小遣いで購入し耽読した。
当時から、「字源」への興味もさることながら、社会生活のなかでの漢字の使われ方、社会の移り変わりを映し出す、漢字表記(表現)の変化の有り様、これら豊かな漢字表現にあらわれる日本人の心理について特に興味を惹かれたといい、中学生の頃には「当て字」を蒐集、ノートにまとめ自作の「当て字大辞典」を作成していた。
研究
日本でつくられ独自の発展を遂げた国字(和製漢字)研究の第一人者として知られるほか、辞典などには載せられているものの、典拠不明で、誰にも読めない『幽霊文字』の発掘者でもあり、それら「幽霊文字」のつくられる過程を解明したことでも知られる。
著書