三条市神明町、カレーとスパイス料理の店「くぅ象」(井上弓店主)で15日、盛りつけで弥彦山をイメージし、三条名物の車麩(くるまふ)を使った新しいオリジナルメニュー「弥彦山ココカリー」(900円)を新発売する。
ねらったわけではないが、三条祭りにあわせたデビュー。甘口のココナッツカレーで、ブラジル・バイーア地方の郷土料理「ムケッカ」風と言う。ココナッツミルクをベースにエビとアサリの具が入る。
弥彦山を演出するのは、半球形に盛りつけたライスとその隣に立つ揚げた半円形の車麩だ。弥彦山のイメージは、弥彦山と多宝山の2つの峰がつくる山の形で、ライスと車麩をそれぞれの峰に見立てた。
実は4月にも一度、発売したが、初期バージョンは車麩がなく、ライスを弥彦山に見立てた。しかし、ライスだけではもの足りず、2つの峰を作ってこそ弥彦山に見えることから、今回の改良版を考案。車麩を追加したが、値段は据え置いた。
車麩はしっかり下味を付けて揚げるので、車麩が苦手でもおいしく味わえる。何を隠そう、店主の井上弓さん(28)が「車麩のグルテンの風味がちょっと…」な感じだが、「地元の食材を生かしたものを作ってみたいと思っていました」と地元にこだわりがある。甘いカレーなので「辛いからカレーが苦手と言う女性や子どもたちにも食べていただきたい」と言う。
井上さんは神奈川県川崎市の出身で、実家は韓国風の焼き肉店。身近にエスニック料理があった。仕事でタイへ渡ったり、インド料理の教室に通ったりして、23歳で料理教室を始めた。母が三条市下田地区の出身のこともあり、子どものころから良く遊びに来た三条市内でも料理教室を始めようと物件を探すなかで、いつしか店を開くことに。三条市の空き店舗対策支援事業を利用して2011年9月に「くぅ象」をオープンした。
本格的なインドやタイの料理が食べられるのが人気で、ファンは多い。今も月に1回は川崎市の教室で教えている。近所が協力してどぶさらいするなど、三条市民とのコミュニケーションもすっかり慣れ、楽しんでいる。須頃にある親せきの農家は、東京でも手に入りにくいようなハーブも栽培してくれる。
「伝統に頼った方が楽で、オリジナルメニューは難しくて」と正直に打ち明ける井上さんだが、「地元とのコラボレーション、そんなものを生かした料理を作り上げたい」。
「弥彦山ココカリー」も完成形と決めたわけではない。「食べる人が辛くできるように、神楽南蛮をかんずりのように使えないかな」という構想も。「ここにしかないものを出せるようになりたい。そういうオリジナルメニューを作って、人が来たくなるようなメニュー構成にしていきたいですね」と頭の中はアイデアでいっぱいだ。
月曜の夜と火曜は定休、営業時間はランチが午前11時半から午後1時半ラストオーダー、ディナーは午後6時から9時まで、金、土曜は10時まで。