燕市・戸隠神社(星野和彦宮司)の春季祭礼が18日の宵宮祭で始まり、翌19日は例大祭が行われる。祭りの露店が並ぶ宮町商店街のアーケードは取り壊しの計画が進んでおり、アーケードのある状態では今回がおそらく最後の春祭り。18日は好天にも恵まれ、近年になく大勢の人出でにぎわった。
宵宮祭は午後7時から戸隠神社拝殿での神事に始まったが、それに先だって木場小路と横町の2つの万灯組がまちなかに祭りばやしを響かせた。まず木場小路万灯組が午後3時から万灯の出発式を行い、4時15分から“宿”と呼ぶ集会所で木やりに続いて踊り子が伊勢踊りを披露し、氏子町内の家々での門付けや街頭で踊る下座に回った。
一方で横町万灯組みは午後3時半から踊りのけいこをつけてくれた燕市寿町、花柳徳紀女さんの家の前で下座。4時15分から万灯を置く第一生命燕ビル前で出発式を行ってから町内の門付けと下座に回った。
宵宮のハイライトは、戸隠神社境内での下座。午後8時から木場小路万灯組、9時から横町万灯組がそれぞれ神社前に万灯を据え、拝殿へと続く石畳を舞台にそれぞれ12人の小学生からなる踊り子が伊勢踊りを披露した。
踊り子を数百人にのぼるかと思うほどの見物客が囲んだ。木場小路万灯組は男踊り、横町万灯組は女踊りとも呼ばれる。別々に見ると気付かない人がほとんどだろうが、実際は多くの所作が異なり、この違いが見分けられるようになれば“通”だ。
しかしそんな予備知識がなくても、肩脱ぎしたような着物を着て白塗りの化粧をした子どもたちが踊る姿は理屈なしにかわいく、市外から初めて見物に訪れた人は「すばらしい祭りです」、’「これは見に来る価値のあるお祭りです」と感激していた。
この日の最高気温は三条で23.7度の初夏を思わせる陽気。目抜き通りには昨年の128を超える142の露店がずらりと並んだ。祭り関係者も商店街の人も「ことしは人出が多いね〜」があいさつ代わりだった。
アーケードがある状態では今回が最後の春祭りとなりそう。老朽化でこれまで何度か改修しており、仮に再び改修したところで10年もたてば再び改修の問題が持ち上がるのは必至。取り壊さざるを得ない状況だ。
取り壊されれば、これまで難しかった沿線の商店街の店舗の建て替えが進むというメリットに期待する声もあるが、衰退を加速させると心配する声の方が強い。戸隠神社の星野宮司も、宵宮の人出の多さに「これだけの大勢の人がいるのに、町に出てこないだけ」と日常からは想像できない人出に驚く一方、「これでアーケードまで無くなったら、町が寂しくなるような…」と残念がっていた。