県内で初めて「タクシー乗務員バリアフリー研修(通称ユニバーサル研修)」の研修実施機関の認定を受けた三条市東三条1、日の丸観光タクシー(株)=西山斉社長=では、20、21の2日間にわたって県内初の研修を開講し、タクシー乗務員がさらなる接遇向上を目指して、高齢や障がいをもつ人をはじめ、さまざまな利用者への対応などを学んでいる。
ユニバーサルドライバー研修は、タクシー乗務員の”接遇向上”のための教育研修で、利用者とのコミュニケーション、車いすの取り扱いや乗降時の介助方法などについて平成24年ころから実施されている研修で、バリアフリー研修推進実行委員会(一般財団法人全国福祉輸送サービス協会及び一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会)が開発、推進している。
研修は、講義、映像、討論、実践。講師による講義のほか、グループディスカッションや、実際に車いすを使用した接遇や介助の実習などを行う。
同社はことし4月、その研修を実施できる期間として認証され、20日午後1時半から三条市総合福祉センターで、初めの研修。講師は同社の西山社長と、福祉車両などを担当する介護士の資格を持つ女性2人の計3人で、同社の乗務員10人が参加した。
実践では、高齢者疑似体験と車いす取扱い実習を行った。高齢者疑似体験では、重りやゴーグルなどの装備をつけて高齢者を体験。車いすの取り扱いでは、車いすに乗客が乗ったまま階段などの段差を上ったり、降りたり。いずれも、交代で乗客の立場を体験するとともに、乗務員として「何か手伝うことはありますか」、「大丈夫ですか」と利用者に声をかけながら対応を行った。
膝やひじなどに重りをつけて、ひざが曲がらないようにしたり、曇ったようなゴーグルで視覚を妨げたりする装備を身に着けて高齢者を疑似体験した男性は、「きつかった」、「足が上がらないし、腰を起こせない」と話し、頭では理解しているつもりでも体験してみると想像とはまた違うと言い、いろいろな人がタ安心してタクシーを利用できるようにしたいと話していた。
日の丸観光タクシーは、平成11年に福祉車両を導入して以来、「ケア輸送」を心がけ、さまざまな取り組みを行っている。現在、タクシー輸送に係わるスタッフ約80人のうち70人がホームヘルパーや介護士などのケア資格をもつ。
同社では、今後、業務に係わるスタッフ全員が同研修を受講することとしているほか、希望があれば、他社の乗務員の研修も受け入れることにしており、地域全体のタクシーサービスの向上を目指している。