燕市・戸隠神社(星野和彦宮司)の春季祭礼が18、19の2日間にわたって行われた。宵宮の18日は絶好の秋晴れ、19日は夕方から雨になったが、昨年並みの2日間で延べ3万人の人出でにぎわった。
19日は朝から市中はらいに回る一方、木場小路と横町の2つの万灯組は宵宮に続いて氏子町内を門付けや下座に回った。午後6時からの神輿(みこし)行列から祭りはしだいにクライマックスへ。毎年、大名行列を行っていたが、人手が足りず、その体裁を保つことができないため、昨年に続いて神輿行列に代えて行った。
行列は約40人で編成し、太鼓や笛を先頭に鉾(ほこ)、サルタヒコ、白丁、神官などが続く。行列の前に、大通りを秋葉町方向へ進み、土手道路へ上がる坂の上り口の出発点まで移動した。
ここまでが戸隠神社の氏子町内。その手前が旧燕村、先が旧太田村で、戸隠神社が守る結界でもある。そこに御幣(ごへい)を立てた。かつては盛り土をした上に御幣を立てたが、今は交通の障害になるため、移動しやすい台に立てている。
御幣の前で藤崎宮司が祝詞を奏上してから行列が戸隠神社に向かって進んだ。行列が寂しくなった分、少しでも華やかに演出しようと、ことしは3カ所で稚児舞を行った。戸隠神社の稚児舞が見られるのは、秋季祭礼の神楽奉納のときだけ。その神楽を担う燕御神楽神伶人会(船山正幸会長)が担当した。
稚児舞は大名行列が進む道をはらい清めるため、かつては存在したらしい。演目は飴屋本舗前と吉田屋前で先稚児、羽返(はがえし)の2舞、戸隠神社前で先稚児、榊、四神の3舞。4人の稚児が舞った。
青龍、朱雀、白虎、玄武が描かれた4本の鉾を四方に立ててつくった結界を舞台に舞った。近くに来た万灯のにぎやかな祭りばやしの音で、稚児舞の奏楽がかき消されることもあったが、舞が始まると見物客が囲み、時間がゆっくり流れるような優雅な舞を見学。舞が終わると大きな拍手がわいていた。
神輿行列の途中からぽつぽつ雨が降り始め、しだいに本降りになった。夜はクライマックスの舞い込み。午後8時から木場小路万灯組、8時半から横町万灯組が舞い込み。それぞれ若連中らが競争するように境内の外から拝殿まで勢い良く駆け込みこと3回。拝殿のなかで気勢を上げて最後の盛り上がりを見せた。
そして静かにサルタヒコや神輿が静かに還御して拝殿前へ。星野宮司が祝詞をあげ、「ことし平成25年、あと残されました半年間、心穏やかな、しかも災害のない年でありますことを併せ祈念を申しあげながら、ことしの春の例大祭、すべての日程を以上をもちまして閉じさせていただきます」と関係各団体に感謝して締めくくった。