ことしで開湯300年の大きな節目を迎えた岩室温泉=新潟市西蒲区=で6月9日、岩室温泉開湯三百年まつりが開かれる。岩室温泉街を貫く北国街道を祭り以外のイベントでは初めて封鎖、歩行者天国にしてさまざまなイベントを繰り広げる。
温泉街北側の「岩室交差点」を中心に北国街道を北にY字路まで、南に「高島屋」前まで、そして東に「ほてる大橋」前までのそれぞれ約100メートル、合わせて300メートルの道路を午前8時半から午後4時まで車両通行止めにし、グルメ、マルシェ、音楽、巨大縁日の4つのゾーンを設ける。イベントは午前10時から午後3字まで。
グルメジーンはでは、背脂ラーメン、たれカツ丼、チキンのレモン和えなど、20を超す地元のうもいもん屋台が出店。マルシェゾーンでは人気作家の「ハンドメードマーケット」、西蒲区の農産物フェアを併催する形で地元の野菜市「大地の恵みフェア」。音楽ゾーンは「ほてる大橋」ロビーで地元アーティストによるジャズライブ、巨大縁日ゾーンでは、バックだるま落とし、ストラックアウトサッカー、マグナム射的などを行う。
そのほかにもイベントがぎっしり。午前10時から温泉集中管理所で新温泉掘削鍬入れ式、同じ時刻から温泉街ではさまざまな趣向を凝らした仮装をまじえてた開湯湯くみ行列と大桶温泉福まき。11時から特設ステージで開湯まつり記念式典と、場所は決まっていないが、ロープに次々と風船を結び付けてスカイツリーをはるかにしのぐ高さ1キロを目指す風船スカイツリーに挑戦する。
11時半から特設ステージで芸妓、和太鼓、民謡、下駄踊りなど岩室伝統芸能の発表、「ほてる大橋」前の“どん坂”の坂を使ったボウリング大会。さらに昨年デビューした地元岩室のゆるキャラ「いわねちゃん」をはじめ、県内から5体ほどのゆるキャラも集結し、1日たっぷりと遊べる内容だ。
岩室温泉は正徳3年(1713)の開湯からことしで300年。地元の観光協会や、旅館組合、商工会、自治会などで一昨年、岩室温泉開湯300年祭実行委員会(岡崎昭実行委員長)を組織し、昨年、ことし、来年と3年計画で記念事業に取り組んでいる。
ことしの大きな事業のひとつが、この岩室温泉開湯三百年まつり。10月にはイタリア料理をテーマにしたイベントの計画を練っている。実行委員のひとり、新潟市岩室観光施設「いわむろや」=新潟市西蒲区岩室温泉=館長の小倉荘平さん(32)は、「大きな記念イベントだけに終わらせたくない。10年、20年、300年と続くまちづくりをしたい。そのための未来への改革元年のような言い方も」と夢は広がる
小倉さんは東京都杉並区出身。岩室温泉は地域活性化のため、2003年から武蔵野美術大学=東京都小平市=の学生と交流、連携し、1年おきに学生の卒業、修了制作展作品を展示するイベント「アートサイト岩室温泉」を行っている。小倉さんは同大学1年のときからこれにかかわり、卒業すると06年から文科省による岩室温泉のグランドデザインを構築するプロジェクトにアシスタントとして参加。その経験や手腕を買われて2010年にオープンした「いわむらや」の館長に就任。岩室に移住した。
館長就任には「自分が何の役に立てるのかと悩んだ」が、すでに4年目に入り、「このタイミングで何かお返しができれば」と言う。「節目の時期であり、やることは尽きない」が、「いわむろや」だけではなく、「地域のためにも取り組んでいきたい」と願う。今回のイベントでは「まず地元の人に岩室の魅力を感じてもらいたい」と参加を呼びかけている。来場者の目標は3,000人。