燕署と捜査第二課が23日に燕市内で発生した特殊詐欺の被害を水際で食い止め、2人の容疑者を逮捕した事件で、燕市が夕方に防災無線で放送した市民に詐欺被害への注意の呼びかけが逮捕に結びついた。
この事件は、23日午後3時ころから6時10分までの間、数回に渡って燕市内の70歳代女性に電話があった。男が警察官をかたり、「振り込め詐欺の犯人を捕まえたら、あなたの名義の通帳が出てきた。このままで犯人の片棒を担いだことになる」、「口座を止めなくてはいけない」などとうそを言った。
さらに全国銀行協会を名乗る者が「あなたの口座を守るためにやっている」などどうそを言い、キャッシュカードの暗証番号を聞き出して、「今、お宅にキャッシュカードを取りに行かせるので渡してください」などと言って、キャッシュカードをだまし取ろうとした。
家族が不審に思い、警察官に通報したことから、駆けつけた警察官がキャッシュカードを受け取りに訪れた2人を発見。任意同行を求め、取り調べの結果、翌24日午前4時過ぎに特殊詐欺未遂の疑いで住居不定の男(29)と自称留学生の中国人の男(19)の2人を逮捕した。
23日、燕署には1日で10件を超える不審電話の相談があった。電話の内容はこれと同じもので、同じ犯行グループによるものと見られる。燕署は燕市に対して不審電話が多発していることを市民に周知するよう広報を依頼し、それを受けて燕市は特殊詐欺の前兆があることを防災つばめ〜ルでメール配信するとともに、午後6時から防災無線による音楽の定時放送に続いて、特殊詐欺の前兆電話が多発していることを放送、市民に周知した。
女性の娘がたまたま帰宅途中にこの放送を聞き、帰宅してから母に電話があったことを聞いて不審に思い、放送から6時20分に110番通報した。それを受けて燕署はすぐに自宅へ向かってキャッシュカードを渡す前に2人の男を見つけ、水際で詐欺被害を防ぐことができた。男はキャッシュカードを受け取りに来たことは認めている。
燕市はこれまでも行方不明者の発生など人命にかかわるようなケースで防災無線で臨時の放送を行ったことはあるが、特殊詐欺の前兆多発で放送を行ったのは、今回が初めて。リアルタイムでの注意喚起が直接、被害防止に役立ったのは極めては珍しい。
今回の電話のあった日は午前中に燕署で新庁舎竣工式が行われた。新庁舎は燕市の新庁舎に隣接して建設され、竣工式で関係者は警察と行政の連携が密になることに期待したが、まさにその日に両者の連携がはっきりと結果を出した。
鈴木市長は「さっそく市庁舎と警察庁舎が隣り合わせになった成果があらわれたということ。今後も連携を図っていきたい」、「まさに市と警察が連携して犯人を検挙でき、こんなにすばらしことはない」と手放しの喜びよう。20日には来燕した東京ヤクルトスワローズのマスコットキャラクター、つば九郎が燕署の要請で振り込め詐欺被害防止のPRを手伝ったばかりだけに、つば九郎のお手柄との声もある。