市長の任期が残り1年となった鈴木力燕市長(52)の市政報告会が25日午後2時から吉田産業会館で開かれた。絶好の五月晴れで市内小学校の運動会と重なったこともあるのか、参加した支持者は約150人と少なかったが、鈴木市長はこれまで3年間の市政運営を報告し、参加者の質問に答えた。
市長就任以来、年に1度、市政報告会を開いている。主催者の後援会の山崎悦次会長はあいさつで、安倍晋三首相が先に成長戦略のなかで人材のグローバル化の推進を掲げたことについて、鈴木市長はそれに先んじて小中学生の英語力を高める「Jack & Betty 教室」をスタートし、100人を見込んだところ177人もの参加があったことを高く評価し、市長就任後の3年間をさまざな分野で「大変な効果だと思っている」とした。
プレゼンテーションソフトを使い、これまでの3年の振り返りと、今年度の重点施策の2つに分け、根底にあるものの発想、考え方、どういう意図で取り組んだのかを掘り下げる形で話を進めた。
鈴木市長が掲げてきた「日本一かがやいている町」は政策が先進的、話題性があってマスコミの注目を浴びること、それとは別に全国3連覇の燕中女子剣道部など住民の活躍、産業界も新しい商品やビジネスで商売が発展するということ。「燕ってすごい町だね、いい町だねと思ってもらえ、住んでる人もそれを誇りに思う状態にもっていく」のが願いだった。
「実はやってみて、いや、面倒な仕事だなと、つくづく実感しています」と苦笑い。燕だけじゃなくて地方の都市全般にニーズが多様化し、要望以前に今あるものでもやりくりが大変で、合併から7年になるが、10年後から普通交付税合併算定替があり、合併した8万3,000人の状況をもう一度、計算し直すということで、「10億円くらい減るということですので、どんどん、どんどん厳しいというのを数年後、想定しながらいろんなことに取り組んでいかなければならない」と言い、バランスをとりながら要望に応え、財政の健全化も図る「難しいかじ取りが求められている」とした。
そして3年間の取り組みの結果を指標で示した。必要な経費が占める割合、経常収支比率は、平成21年が県内20市中15位の93.0%から23年は5位の86.9%に下がり、「硬直している」とされる90%以上を脱した。
財政運営に必要な貯金、財政調整基金は21年の10億0,800万円から24年は36億1,000万円に向上した。人口増減率は22年の30市町村中12位の-0.41%が24年は5位の-0.40%に。1位聖籠町、2位湯沢町、3位刈羽村、4位新潟市に次ぐもので、特殊要因のある町村と政令指定都市を除けば燕市が最上位にあることを誇った。
そして今年度の重点施策として新庁舎の会長、Jack & Betty プロジェクト、燕若者会議、燕市PR大使・隊鳥、災害に強いまちづくりの5つを上げ、それぞれ説明したあと、受け付けで参加者から受けた質問に答えた。
県立武道場の誘致についての質問については、これまでは建設の必要性の調査が行われて、県は必要だという結論を出し、今はまマーケティング調査を含めて候補地も含めた有識者会議を立ち上げて検討に入った段階。燕市としては県の真ん中で、集まりやすい立地、燕中学校剣道部女子の3年連続全国一の武道をアピールする。
今は燕市と上越市が競り合っているような現状で、もう一度、県に陳情に行こうと思っているが、署名は「虚しく、加熱するので良くない」ので、公開プレゼンテーションをやらせてほしいという陳情をして正々堂々と戦わせてほしいとし、鈴木市長は燕市に建設することの優位性、合理性に自信を示した。
県央基幹病院については、燕労災病院と三条総合病院の統合という結論が出たと思っており、某市の市長が言っているようにはならず、「そこは安心してもらいたい」。近隣の病院の診療科目との調整があり、年内に結論が出る。場所がいちばん気になるだろうが、それを言うと議論が迷走する可能性があるり、場所の議論はまだしないというのが、おとなのルール。県立吉田病院については県立加茂病院と同様、県は一定の役割を担う必要があるとしており、心配することはない。
景気については、産業施策は、いかに状況に応じて的確な対応ができるかどうか。スピード感をもって取り組みたい。新庁舎は市長就任前から激しい議論があったが、その流れを引き継いで取り組み、建物は立派だけど、中身が全然、変わっていないと言われないようにと職員に訴えている。閉会後、鈴木市長は妻昭子さん、山崎後援会長と出口で参加者を見送った。