燕市産業史料館では、1日から16日まで同史料館で「金工の技法展 燕の鍛金編」を開いており、伝統的工芸品「燕鎚起銅器」の完成品ではなく、技法、素材や製造のプロセスに光を当てて紹介している。
鍛金は、一枚の銅板を金づちや木づちで打ち延は?したり、打ち縮めたりしなか?ら器を作る技術。明和年間(1764-71)、仙台生まれの藤七という人物か?来燕して伝えたとされ、地元の弥彦山から採れた銅でやかんなどを生産する一大産地となった。美術工芸品としての地位を確立し、今の燕市の金属加工業発展の基盤となった。
その技法を紹介しようと、今回は同史料館の所蔵品で構成する。まず16種類の金属素材のテストピースを実物で紹介する。金、銀、銅、赤銅、四分一、黒味銅、黄銅の7種類の金属と、それを煮込んだり、硫化加里仕上げや緑青仕上げを施したものを展示。作品を見て何となくわかっていた金属の違いをあらためてはっきりと見比べることができる。
そしてこれら金属、仕上げで作られた花器や皿、香炉、急須、水盤などを展示。金属の着色は金属の表面に化学変化を起こして被膜をつくるこや、それぞれの着色のための手法や特徴を、やはり完成品を展示して紹介。技法で打込象嵌(うちこみぞうがん)、金消し(きんけし)、研ぎ、亀甲文(きっこうもん)、接合わせ(はぎあわせ)、二重打ち、そして人間国宝玉川宣夫=燕市花見=が極めた木目金(もくめがね)などを紹介している。
いわば鎚起銅器誕生の舞台裏の公開で、今回の展示に学んでからあらためて鎚起銅器にふれれば、伝統技術の世界を重ねて作品からそれまでと違った奥行きのある趣を味わえるはずだ。ほかにも燕に現存する最古の銅器、燕市の鎚起銅器を代表する玉川堂=中央通2=の初代玉川覚兵衛が手掛けた「つばやかん」、湯沸口打ち出しの製造工程、きせる屋の位置を示した大正15年発行の燕市街路図の複製の展示、さらに鎚起銅器職人が作業する上がり盤(上がり台)に座って記念写真を撮れる撮影コーナーも用意している。
日曜の9日は石高靖男さん、16日は西片亮太さんを講師に作品解説会を開く。いずれも午後2時から1時間。予約は必要なく、参加したい人は直接、会場へ出向く。参加は無料だが入館料が必要。
期間中の休館日は10日。開館は午前9時から午後4時半まで、入館料はおとな300円、子ども100円で土、日曜と祝日は燕市内の小中学生と付き添いの保護者1人が無料。問い合わせは同史料館(電話:0256-63-7666)へ。