弥彦神社駐車場向かいに並ぶ土産店にガラス作家の店「TAKU GLASS(タクグラス)」が加わり、軒下に揺れるたくさんのガラスの風鈴が風を指揮者に涼感あふれる軽やかなメロディーを奏でている。
軒下に格子に組んだタケに50個近いガラスの風鈴が揺れる。和紙に手描きした緑の弥彦山と朱の大鳥居に「弥彦の風」とある短冊を下げる。
ガラスの厚さや口の広さで音程や音色が変わる。手作りで大きさも色も形もデザインはまちまち。風に応えてそれぞれの風鈴が揺れてそれぞれの音を鳴らすと、全体ではまるで合奏のよう。ひとつの風鈴の音は寂しげな印象もあるが、たくさんの風鈴が次々と音を紡ぐと華やか。透き通ったガラスの視覚的な効果もあり、それでも暑苦しさを感じないのは、風鈴の面目躍如だ。
店を開いたのは、野沢拓自さん(32)。若手ガラス作家だが、旧新津市で中学を卒業してから近所のガラス工場で働いたので、キャリアは長い。九州は鹿児島、大分県の有名な温泉地、湯布院でガラス工芸で働いたこともあり、1年半ほど前まで3年間、新発田市・月岡カリオンパークの手造りガラス工房「びいどろ」でも3年ほど働いた。
店をもとうと県内各地を探すなかでたまたま弥彦の土産店の空き店舗を見つけ、4月27日にオープン。彼女と2人で作品を制作し、店を切り盛りする。今は新潟市中央区に住んでいるが、6月末までには弥彦村へ引っ越す計画だ。
店内には数百点のガラスの器やアクセサリーがひしめき、風鈴は店内にもある。グラスは口を切っていなので、やさしい口当たりが特徴とか。野沢さんは自分の店をもって「お客さんの気持ちがわかって勉強になりますよね」と言い、「風鈴は音の違いをおもしろいと思います」と来店を待っている。
風鈴はほとんどが1個1,000円と手ごろ。水曜定休で土、日曜は1,000円でトンボ玉の制作体験も行っている。