ことしで開湯300年の大きな節目を迎えた岩室温泉=新潟市西蒲区=で9日、岩室温泉開湯三百年まつりが開かれた。祭り以外で初めて封鎖、歩行者天国にした岩室温泉街の北国街道で盛りだくさんのイベントが繰り広げられ、好天に恵まれて大勢の人出でにぎわった。
温泉街北側の「岩室交差点」から北国街道を南と北、さらに東の3方へそれぞれ約100メートルを通行止めにし、グルメ、マルシェ、音楽、巨大縁日の4つのゾーンを設けて行われた。
午前10時から温泉集中管理所で新温泉掘削鍬入れ式が行われた一方で、温泉街ではさまざまな趣向の仮装による開湯「ゆくみ行列」が北国街道を往復した。50年ほど前までは湯元から温泉街まで、おけなどに湯を入れ、大八車に載せて運んだ。その再現をテーマにした。
ほら貝を先頭に、おけを積んだ大八車を引き、約100人の行列を編成した。岩室温泉のゆるキャラ、みらいくんとおえいちゃんの仮装や、当時を思わせる着物を着たり、地元にゆかりの石瀬代官、庄屋、良寛、村の子ども、大工、茶屋娘、早乙女、芸妓などで仮装。初めてとは思えない立派な行列になり、その後ろに与板のみこしも続いた。
11時から行われた記念式典には、岩室のゆるキャラ「いわねちゃん」が登場。スワローズに所属した新潟市出身の元プロ野球選手、青島健太さんもあいさつした。
訪れた近所の人は、「こんなに温泉街がにぎわっているのを見たことがない」と、ふだんとの落差の大きさに驚いた。集落の人たちはみんな顔見知りで、会場へ向かう道すがらにあいさつをかわし、「行こてね」、「どんげんのがあんだか、見ねことにはわからね」と初めてのイベントに興味津々だった。