谷川俊太郎さんが燕市で講演、会場いっぱいの来場者は谷川さんによる絵本の読み聞かせや詩の朗読に大感激 (2013.6.9)

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詩人で絵本も手掛ける谷川俊太郎さんが8日、燕市文化会館で「ことばの持つちから・絵本の持つちから」をテーマに対談形式で講演した。谷川さんが読み上げた絵本や詩は、息を吹き返したように新たなイメージを生み出し、会場を埋めた来場者を感動させた。

8日、燕市で講演した谷川俊太郎さん
8日、燕市で講演した谷川俊太郎さん

谷川さんの詩は教科書にも掲載されるなど、あまりにも有名。鉄腕アトムの主題歌など、それと知らずに谷川さんの作品にふれていることも多い。講演会の入場整理券も配布から数日でなくなったのも当然で、この日は620人が来場した。

谷川さんは対談形式で講演した。相手を務めたのは、長岡市のギャラリーmu・anの代表、立見迪子さん。燕市立図書館の読み聞かせボランティア養成講座の講師を3年間務めている。

谷川さんは立見さんと対談形式で話を進めた
谷川さんは立見さんと対談形式で話を進めた

はじめに鈴木力市長は、「きょうの講演会で感受性や想像力が豊かな子どもを育てるきっかけになることを皆さんと期待したい」とあいさつ。続いて谷川さんがステージに。小柄でブルージーンズに自作の「かっぱ」の詩をプリントしたグレーのTシャツというラフな服装だ。

『絵本のくに』や『生きる』の詩を朗読し、絵本の『んぐまーま』や『もこもこもこ』はプロジェクターで絵本の画像を投影しながら読み聞かせ。とくに絵本では声の大きさ高さ、リズムや声色を変え、ふだんから絵本を読み聞かせをしている人たちが想像もできないような幅広い豊かな表現を披露。読み終わるたびに、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。

詩や言葉について持論を語る谷川さん
詩や言葉について持論を語る谷川さん

谷川さんは「詩は売れないけど、絵本は売れます。数百倍です。生活費を稼ぐためにも絵本の仕事を続けています」などと笑わせながらも、自身の詩や絵本に対する思いや考えを次々と話した。

オノマトペで構成した『もこもこもこ』は、「言葉だけで表現できないものを、絵と言葉が合わさることで第三の何かが広がる。深みにいけると思う」。東日本大震災では「ああいう非常事態の時に“詩”というあいまいな、情報とは対極あるものが求められた。言葉には力があると感じた」。

会場は620人で満杯
会場は620人で満杯

「われわれは現実を体全部を使って見るのですが、われわれが感じている現実は大きいですね。生きている土地だけでなく、国に属している。それが地球に属す、そして地球は太陽系のひとつ。言葉はささやかですし、現実のごく限られた一面しか表現できていないということが常にありえます」、「無意味なものを日本語で読むと、韻を踏んでいないからすっと入ってこないけど、おもしろくなります。現実を超えた言葉の無意味さは人間の心には大きく影響することがだんだんわかってきました」。

「自分が入ってきた現代詩が意味に偏りすぎて思想や観念にとわれていて、本来の詩の喜びから遠ざかり、読者を失っているという危機意識があった。日本語は音の世界が豊かだが、現代詩が考慮しないのはおかしいと。言葉遊び歌は現代詩に対する不満を試してみたいと。結局、七五調も入っているが、韻を踏むことを考えたら、だじゃれに近いような…」。15分でつくった詩も2週間以上の推敲を重ねて完成するが、谷川さんは思いを言葉に変えてリアルタイムでつむいだ。

身ぶり手ぶりもまじえて語る谷川さん
身ぶり手ぶりもまじえて語る谷川さん

講演後は客席から質問を受けるだけでなく、読んでほしい詩のリクエストも受け付ける大サービス。谷川さんは手を上げる人がいなくなるまで応えた。最後は大事にしているものはという質問に谷川さんは「愛」と答えてきれいに締めくくった。講演後はサイン会も行った。

来場者は圧倒的に女性が多かった。長岡市に住む30歳の女性は、燕市の実家へ帰ったときに市の広報紙で谷川さんの講演会を知った。教科書で谷川さんの『おれはすてきなひとりぼっち』に出会って以来のファン。生で谷川さんを見たのは初めてで、「質疑は人柄を感じられておもしろかった」。また、『生きる』の詩の朗読に「感動して泣きそうになりました」と話す女性もいた。

サイン会
サイン会

その後、関係者30人近くが参加して懇親会を開いた。今回は読み聞かせボランティアや図書館ボランティアをはじめ、手話や要約筆記などさまざまなボランティアが裏方で働いた。事前にリハーサルを行ったがこともあるが、スムーズな絵本の画像表示や質問者へマイクを渡す段取りに谷川さんは「ほとんど完璧にできてましたよね」、「みんなボランティアで前もってすごく準備をしてくださったんだなということが、ひしひしと伝わってきました。それだけでうれしかったです」と喜び、会場は大きな拍手が響いた。

懇親会での谷川さん
懇親会での谷川さん

鈴木市長は、講演の最後に谷川さんがリクエストを求めると次々と手が上がったことに「いかに谷川先生の詩に思いをもっている人がたくさんいらっしゃるのか」と感動。さらに、詩を読んだあとに、一瞬の沈黙があってから拍手が鳴り、その沈黙がそれぞれにぐっと受け止めた瞬間で、「あの沈黙に詩ってそういうものとあらためて思った」と得心した。旧国上小学校の校歌が谷川さんの作で、今も校歌を書いたものが分水北小学校に飾られていることも紹介した。

鈴木市長から谷川さんにプレゼント
鈴木市長から谷川さんにプレゼント

講演会では関係者は質問を遠慮したこともあり、あらためて谷川さんは質問を受けた。茨木のり子さんと川崎洋さんが始めた同人誌『櫂』に誘われて加わっていた当時や二人との思い出、息子で音楽家の谷川賢作さんのこと、谷川さんの作品のなかでも有名な『ネロ(愛された小さな犬に)』がつくられた背景、一緒に絵本をつくったイラストレーター宇野亜喜良さんのことなどについて話し、出席した人たちは雲の上のような存在の谷川さんを前にして夢のような時間を過ごしていた。


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