県内有数のキャベツ産地の三条市で、春キャベツの収穫が始まり、市内をはじめ県内各地の食卓に届いている。
三条市のキャベツの作付面積は新潟市に次いで県内2番目。平成の大合併前の市町村では1番という一大産地だ。
その多くを生産するのは三条市の栗林地区と石上地区の25の生産者でつくる三条市園芸振興協議会。石上大橋から下流の信濃川右岸河川敷を中心に約36ヘクタールの広大な畑でキャベツを生産しており、6日に春キャベツの出荷をスタートした。
生産するキャベツは、ネーミングもさわやかな「青春2号」、「青春」、「初恋」の3品種。毎朝、夜明けとともにキャベツを収穫し、三条、新潟、長岡、西部、柏崎の県内5つの市場に出荷している。
1月に種をまき、温室ハウスで育てた苗を3月末ころから畑に植える。5カ月余りの時間と手間をかけての収穫だ。ことしは4月の低温で1週間ほど生育が遅れた。5月に雨が少なかったことで小玉傾向だが、その分、甘みをたくわえているという。
会員の三条市栗林、伊部利一さん(59)も、毎朝4時ころには畑にいると言う。週明けの10日も朝露のついたキャベツを収穫していた。キャベツの収穫は特性にあわせて、今なら8時前までの涼しいうちに終わらせる。
この周辺の畑は、04年の7.13水害、11年の7.29水害で増水した川の水の中に沈んだ。作物の生育は天気に左右される。自然は待ってくれないので暑さ、寒さのなかでの作業もあり、自然相手の仕事は厳しい。
反面、弥彦山と粟ヶ岳、守門岳の3つの山が美しく見えるこの畑の作業は気持ちがいいと伊部さん。明け方には信濃川で大きなコイが跳ね、弥彦山の影に沈む夕日もきれいだと言う。
春キャベツの収穫は7月初旬ころまで続き、あわせて始まるエダマメの収穫では、まだ暗い午前3時ころからの作業と話していた。