燕市は20年後の燕市の将来像「未来ビジョン」を考える「つばめ若者会議」を6月下旬に発足するのに向け、そのキックオフイベントとして15日、吉田産業会館でコミュニティーデザイナー山崎亮さん(39)を迎えて「協働のまちづくりシンポ−つばめの未来へ!幸福のために今できること」を開き、150人近くが来場した。また、つばめ若者会議のワークショップのファシリテーターを山崎さんが代表を務める株式会社studio-Lが担当することも明らかになった。
山崎さんはstudio-L代表で、地域課題を住民が解決するまちづくりの請負人として全国各地で活躍している。さまざまなメディアでも取り上げられ、昨年、ことしと2年続けて三条市で講演したこともあり、県央地域でも多くの人が生で山崎さんのメッセージにふれている。
今回は2部構成で、まず山崎さんが「未来の幸福のために今できること」をテーマに講演したあと、「未来へ!燕の幸福のカギは?」をテーマにトークセッションした。その前に先に燕市PR大使に就任したばかりの燕市のフルート奏者、本宮宏美さん(29)がオープニングスピーチを行った。本宮さんは、自身の2つのビジョンとして燕市でフルートを製造し、そのフルートを求めて世界中の人が燕にやって来ること、自身のライブに世界中から集まった人が食べたり、飲んだり、泊まる場所やレジャー施設を提供することをあげた。
山崎さんは講演で、兵庫県・有馬富士公園、鹿児島県・マルヤガーデンズ、広島県・福山市まちなか再生計画、香川県・観音寺まちなか再生計画、大阪府・生活スタジオなどこれまでかかわってきた事例について話した。
トークセッションは、人と人とがつながるために「つばめステッカー」を考案した捧美佳さん、ものづくりを通じて首都圏の企業とのコラボや大学生との連携も進める(株)MGNET代表取締役の武田修美さん、子どもの中にあるその子らしさを表現できる場所をつくろうとするNPO「はっぴーザウルス」を主宰する深海寛子さんの燕市の3人。コーディネーターを燕三条エフエムパーソナリティーの倉重美智子さんが務めた。
3人の自己紹介を受けて山崎さんは、「お勧めの場所が全部、人と関係してたのがおもしろい」。みんなに愛されるまちになるには「誰がどんな活動をしているのかっていうこととセットで風景や場所の記憶がこびりついていくことになる」と話した。
栃木県の益子町で、地縁によらず新しい祭りの創造に取り組んだことを紹介。「祭りは新しいコミュニティーをつくるための大きな力になる」、その盛り上がりをまちづくりのチームに生かした。
燕市の3人は、それぞれが描く燕の将来にを話した。捧さんは「みんなが集まれる場所をつくりたい。10代のころから行っていたライブハウスみたいなみんなが遊びに行ける所。みんなが集まれる場所」。武田さんは「若い人が残りたい燕市になってほしい」、そのために「少しでもかっこいいと思う部分が見えるようになってほしい」し、「それを発信する立場にいたい」。深海さんは「障害のある人もない人も共に生きている地域で、個性を尊重できるまち」をと願った。
山崎さんは、3人の思いを巧みに拾いながら、実現のための手法を自身の実例などをもとに話を広げたり、深めたり。すでにワークショップが始まってるいるかのようだった。山崎さんは、「20年後に若い人たちに、かっこいいと思ってもらえるようなまちづくりをしているかどうかということが大事になるから、多分、若者会議ということに踏み切ったんだろうと思います。その決意をわれわれも深く感じて皆さんと一緒にかっこいい、新しいタイプの燕のまちづくりをやっていきたい」。
また、自分の脳をだましていくことも大事。「やれるんじゃねーかと。もうやるという風に思い込むんで、自分自身を半ばだますぐらい強く思い込む必要もときにはある」。
質問を受けて「目利きでないと見抜けない地域の魅力が結構ある。一人ひとりが目利きになることが大事」。大手のカフェのチェーン店を例に「土地の単価の高い東京であれだけの密度のなかでゆったりして座ってもらおうと思えば、あんな回答しかない」、「この空間的なゆとりがいっぱいある燕から見たら、あんなのしかできないってことになる」などと話した。
最後に鈴木力市長がエンディングスピーチを行った。鈴木市長は、若者会議のワークショップのためにいいファシリテーターを探すよう指示し、山崎さんを見つけて議会に予算を上げたことを話し、山崎さんが代表を務めるstudio-Lがワークショップを担当することを明らかにした。
山崎さんが活動人口という言葉を多用していることにふれ、「皆さん活動して、活動人口を日本一の燕市にしていこうじゃないですか」と若者会議の成功を期待した。
来場者の半分ほどは市外の人で、質問に立った2人はいずれも新潟市の人。山崎さんに対する近隣の注目の高さを象徴していた。