13日に三条市立条南小学校4年生児童32人を乗せた三条市のスクールバスが三条市下田地区が事故を起こしたことについて、三条市教育委員会は19日開かれた三条市議会総務文教常任委員会協議会(森山昭委員長・9人)で、事故の原因や今後の対応を報告した。事故翌日に児童1人が首に5日ていどのけがをしたことがわかり、当初の物損事故から人身事故の扱いになったことも明らかになった。
長谷川正二教育長が発言を求め、迷惑をかけたことをわびて頭を下げ、事故を教訓に今後も安心安全な学校生活、学校活動の推進に努めると話した。
資料に基づいて、事実経過、児童の様子、事故原因、今後の対応について説明し、質疑応答では、プロが起こしたありえない事故として、市のスクールバス運行についての教育委員会の今後の対応、今回の事故後の教育委員会や学校の対応、詳細な経過報告や再発防止の対応や対策を求めるなど委員全員が次々と質問した。
報告では、6月13日午前、児童32人と引率教職員3人が乗ったスクールバスが校外学習で三条市下田地区の長野地内「水道用水供給企業団」に向かった。運行は日の丸観光タクシー(株)=三条市東三条=に委託している。
国道289号線を「いい湯らてい」手前で「嵐渓荘」方向に右折し、本来は「嵐渓荘」手前で左折する道順だったが、そのまま直進。バスは同道路沿いの最奥地の集落を過ぎ、さらに車1台がやっと通れるような道になる吉ヶ平に向かうゲートを通過し、さらに進んだ。
その後、バスは、道路右側の斜面にバスの右側前部を接触したあと、道路左側の岩に衝突。バスの左右の前部が壊れ、乗降用のドアの開閉ができなくなるほどだったが、バスはその場で止まることなく約2キロを走行し、その間、車内の児童は悲鳴をあげたり、泣きだす子もいた。停車した時点で、児童と教職員は車外に待避した。この時点では、全員、けがはなく、痛みを訴えることはなかった。
同所一帯は携帯電話の通じない場所だった。運転手は再びバスを走行させ、どこかでUターンして、道を戻り会社に連絡した。同社は市教育委員会に連絡するとともに、代車を現場に向かわせて児童たちを学校に送った。市教育委員会が警察に連絡した。
また、教職員も、待避しているところに、たまたま通りかかった人に車に乗せてもらい携帯電話の通じるところまで行き、学校に電話をし、事故を報告。学校長が現場に向かった。
この日は、電話と夕方から児童全員の家庭訪問を行って事故を報告、夜も再び電話で事児童の様子を確認した。翌日になって、2人の児童が胸と首の痛みをうったえたことから、保護者に医療機関を受診するよう勧め、1人が首に5日間のけがを負ったことがわかった。その診断書を19日午後に三条署が受け取ったことから、これまでの物損事故から人身事故として取り扱われることとなった。
また、教育委員会のこの日の報告では、事故原因は、「運転手のカーブでの運転操作ミスが直接の原因として考えられる」とし、道を誤らなければ防げた事故と説明。さらに、運転手が道を間違えたことに気づいて、焦りながらも走行を続けたことで事故を誘発し、事故後も2キロにわたり走行を続けたことが児童に大きな恐怖感を与えてしまったとしている。
運転手は、11年10月に同社に入社。それまで6年半、県内大手バス会社の三条営業所に勤務した。事故前日も同じコースの校外学習スクールバスの運転手として、同小学校のほかのクラスの児童を乗せて水道用水企業団を訪れていた。
続く質疑応答のなかで、現在市保有のスクールバス21台のうち6台は個人委託、15台が同社への委託。事故を起こした運転手は業務から外しての運行を続けており、校外学習は運転手2人体制に変更して対応している。
「プロ中のプロ(運転手)が道を間違えることもそうだが、右、左とぶつかり、そこで車を止めずに2キロも走ることは異常。本人は何と言っているのか」の質問に、「坂道だったので広いところを探した」、「気持ちが動揺していた」と話していたと答えた。ほかの委員からも、今後、どのような視点で委託契約や許可などを行うのか、さらに基準を設けるべきではなど相次いだ。
また、事故は議会開会中の発生でだったのに報告がなぜ翌日になったのかと発生の知らせの遅れや、学校側についても、「おかしいと思ったらバスを止めるくらいの行動をとらないと子どもたちの安全は守れない」との指摘もあった。