三条市は、国道289号の開通に向けて工事が行われている「八十里越」の工事用道路を使った「秘境八十里越体感バス」を30日から運行する。それに先立って25日、内覧会を開いて市議や商工関係者、報道関係者などにコースをお披露目をした。
開通のめどが立たない八十里越の自然や歴史にふれ、日本の高い土木技術も見ることで、開通後は三条市と結ばれる福島県をより身近に感じてもらい、早期開通の気運を高めていこうと、国交省の協力を得て初めての体感バスが定期運行される。
内覧会は、本運行と同様に行われた。発着場の道の駅「漢学の里しただ」に集合し、福島県との県境の9号トンネルの福島県側を出たところまでの往復48キロの行程。車内や数カ所の降車場所でガイドから八十里越の歴史や工事の概要の説明を聞き、3時間半で往復した。
体感バスに使うのは専用の21人乗りマイクロバスで、八十里越で撮影した写真がラッピング風にボディーに張ってある。出発から20分ほどで関係者以外立ち入り禁止の工事区間に入ったところから全員がヘルメットをかぶらなければならない。
工事用道路は幅約4メートル。時速20キロから30キロでゆっくりと進む。車外に降りる1カ所目の場所は渓谷に架かる榾橋の上、2カ所目はバスの側面の写真の撮影場所で、河合継之助も通った山道の「八十里越」を遠くに見る第5号橋梁建設場所付近。3カ所目は第8号トンネル前で、工事の説明を聞いたあと、トイレ休憩。
第9号トンネル内の新潟・福島県境を通過して間もなく、折り返し地点で、第9号トンネルを福島県只見町側に抜けた先でUターン。4カ所目の9号トンネル只見町側で車外に降りて、一昨年の7.29水害による土砂崩れなどの被害状況や工事概要などの説明を聞いた。復路は来た道を戻り、大谷ダムでトイレ休憩をとって帰着した。
平成3年に旧下田村議となって以来すでに22年も「八十里越」にかかわっている鳶田眞六下田商工会長は、「進まないなというのが実感」と話したが、たくさんの人に「八十里越」に関心をもってもらい、一日も早い開通をと声をあげてもらえればと、体感バスの運行に期待した。また、工事用道路周辺の景観はすばらしく、新しい道路ができれば通行できなくなるというのは惜しいとも話していた。
体感バスは、11月9日までの火、土、日曜に計35回を計画しており、すでに定員合計1092人のうち750人余りの申込みがあるという。